【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第31章 I loved good bye
「これ、喜んでくれるかな?」
「きっと喜んでくれるよ」
つばさちゃんがお墓に供えたのはピンクの薔薇。
降っていた雨も止んで、仕事終わりに私たちは彼女のお墓参りに来ていた。
あの後ーーどこをどうやって戻ったのかも覚えてない。お墓に手を合わせる私達の頭上に影がさした。
「このピンクの薔薇、あの子が好きだってよく分かったわね」
影の正体は夜叉丸さんだった。
「バカでしょ?あの子。曲をもらった時にね、喜んだのと同時に『これは先生が私の為に書いてくれた曲だ。だから、それに恥じない様に一生懸命歌わなきゃいけない』って言って......。
あの子はそこまで決意して覚悟を決めていたわ。そんなわけないのにね」
いつも通り話していた彼が俯いて、その声はひどく震えていた。
「正義も何もありゃしない!売れると思えば何だってやる......!
そういう男だったんだよ!!お前の父親はぁ!!!」
その瞳に怒りがこもった。
「待ってください!夜叉丸さん!」
咄嗟に二人の間に割り込む。
「お前に分かるかぁ?大事なものを奪われた苦しみが!!あいつに復讐する方法はただ一つ。あいつの全てを背負っているお前を苦しめる事だよ!!」
にじり寄る彼に抱きついてそれを阻む。
「夜叉丸さんの気持ち、分かります。私ももし同じ事をされたら、きっと相手を許せないと思います。
だから、私にできる事なら何でもやります!全てを尽くして償います!!A&Rを辞めろというなら辞めます!!だ、だから!!Bプロを復讐に使う事だけはそれだけは辞めてください!お願いです!!
Bプロはこれから、もっと多くの人に愛されて沢山の人を幸せにします!Bプロの未来を邪魔しないでください!!
どうか、お願いします!!」
彼女はどこまでも真っ直ぐで、綺麗だった。
その姿が眩しくて、とても羨ましいと思った。
「何でもする?」
「もう辞めてください!!」
私に構わず前に進んでくる彼。
「何でも......A&Rを辞める?お前が仕事を辞めて何になる?笑える」
「夜叉丸さん......!」
「そんなもんで済むわけがないだろう。命の一つや二つ差し出してほしいくらいだ。どれだけ自分に価値があると思ってるんだよ!」
「「夜叉丸さん、もう辞めてください!」」
遠くから声がした。