【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第29章 Stay who you are
彼の右手を両手で握ると自分の額に当てる。
「成功するように、念を込めようと思いまして......」
「ふふっ、ありがとう」
背中に腕を回されるとそのまま抱きしめられた。
「ま、待ってください!誰かに見られたら......」
「嫌。もっとして?」
綺麗な顔が近づいてくる。
「だ、だめです」
触れる寸前で止まったそれは驚きに染まっている。
「あれ......」
「そうですよ。天才も努力してます!」
指差した先には北門さんのバッグ。
そこから覗くのは沢山の付箋がついたグルメ雑誌だった。
「ふふっ、素人の大根に演技指導を頼むくらいですからね?」
今回こそ二人が分かり合えると信じたい。
同じ場所で高め合ってバンビ時代にペアで仕事をしてた。
別のグループでデビューしてまたB-PROJECTで共に活動してる。
これこそ運命だよ。
「ずるいね......知ってたんだよね?」
「はい?何のことかサッパリです!」
「ほんとに敵わないよ」
「んっ、増長さん!?」
今度はそっと唇が触れた。
「ありがとう。いつも助けてくれて......みょうじさんと居ると自分が優しい人間になれる気がするんだ」
えっ......?
「小さくて泣き虫でも芯が通ってて......物凄く強い。優しさは強さでもあるから......俺はそういうところにも惹かれてるんだよ」
あれ......?
なんか......おかしい。
胸が詰まって言葉が出てこない。
私の様子に気づいたのか身体を離して様子を伺われた。
「みょうじさん?」
「はい!」
「大丈夫?ぼんやりしてる。」
「いえ、むしろ私の方が助けてもらってばかりですから......」
「そんなことないよ。あの時目が合ったの分かった?」
「えっ?」
「俺......みょうじさんに対して笑いかけたんだよ」
「ええっ!見えてたんですね?」
あれ?
もしかして......視力良いのかな?
「視力は良いよ。だから今も可愛い顔がよく見える」
そういうと顎をクイッとあげられた。
「近いです!もうだめですよ?」
「ふふっ、真っ赤だよ。これからもずっと一番側で見てて?」
優しく微笑むともう一度優しく口付けられた。