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【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います

第28章 守りたい君の居場所


「確か、こっちに......。」

百くんが立ち上がって、ステージの方に向かう。私たちも立ち上がると後に続いた。


「ほら、手掴め。」

「ありがとうございます。」

龍さんに引き上げられて、ステージに上がる。


「あった!」

「まだ、あった......。」

セットの一部に刻まれた文字。

そこには当時の彼らの心の声が残されていた。


『いつも、ありがとう』

「こういう時に感謝の気持ちを選ぶのは、百くんらしいですね。」

「ありがとう。」


『今日を絶対に忘れない』

「増長さんらしいです。誠実さが滲み出てます!」

「ふふっ、ありがとう。」


『最強のチーム』

「俺、こんなの書いたか?」

「『最強のチーム』ププッ、若気の至りだね。」

「龍さんは熱血ですね!あははっ、こういうの好きです。暑苦しいの!」

「うるせぇな。」


『目指せ日本一いや、宇宙一!』

「暉だって、変わらねぇだろ?」

「俺は今でも同じ事書くもん!」

「暉くんらしいですね!夢は大きく!そして、実現ですね!」

「でしょ、でしょー!」


『最高の居場所。』

「素敵な言葉ですね。大変な時期、辛い時を一緒に乗り越えて来たからこそ書ける言葉です。」

彼は眉を下げて、俯いた。


「皆持っているんだよね。最高の居場所。それを守る為にアイドルを選んだんだ。」


「みか、本当にこのままでいいのか?」

「ずっと続けることは出来ない。最初から分かっていました......。でも、それを忘れてしまうくらいMooNsは楽しかった。いつの間にか夢中になって、毎日が輝いていました。」


彼が、こちらを振り向く。

「僕はこの仕事が......、皆さんが大好きです。」

そう言うと微笑んだ。


「私もステージに立つ帝人さんが好きです!」

「辞めるなよ、ミカち!」

私たちの言葉で彼の心を動かせますように。


突然、彼の手を百くんが掴んだ。

「自分で納得していないなら、辞めるな。」

その言葉に彼はハッとする。

百くん、決して言葉が多くないから......一言一言に重みがある。


「帝人......。」

静かな空間に増長さんの声がやたら響いた。
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