【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第28章 守りたい君の居場所
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
促されて客席に座る。
「この座り心地、懐かしいな......。」
「ああ。」
「MooNsの初仕事の時さ、全員ガチガチで失敗して、終わった後ここで反省会したよね。」
ここは、彼らの思い出の場所なんだ。この場所が今に繋がっている。
「そうそう!デビュー曲のお披露目なのに。」
「フリも歌詞も間違えて。」
「あの時は皆、靴がボロボロになるまで練習していた。」
「で、その穴を龍広が縫ってくれたり。」
「そうそう、買うお金無くて!」
「ふふっ、皆さんは昔から沢山努力してここに居るんですよね。龍さんも昔から器用ですごいです。もっと前から、皆さんに出会えてたら側で応援出来たのに。」
大変な時期、悲しい時、辛い時も、支え合って頑張って来たんだ。
何やら、皆の視線を感じる。
「一日一日名残惜しいんです。毎日もっと皆さんと話したかったり、側に居られる時間が増えたらいいなって。一日が短すぎます!」
あれ、沈黙......?
「なんか、愛されてるね!俺たち。」
「ふふっ、ハイエッジに皆さんが行ったら元の生活にって......元の生活への戻り方を忘れててどんな生活してたんだっけ?って。」
「大丈夫だ、どこにも行かない。」
「私は皆さんを取り上げられたら何も残らないんです。私が自慢できるのは皆さんのA&Rってことくらいです。」
「みょうじさんは、自分の魅力に気づいていないだけだよ。」
「そんなことないです!皆さんに出会えて本当に良かったです。普通ならテレビで見るだけの人達ですから。」
「不思議な縁だよな。」
「本当にとても、不思議な縁です。」
「はい、ずっと大切にします。一生忘れません!」
そう言った私は、上手く笑えていただろうか。