【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第28章 守りたい君の居場所
「私は諦めてませんよ」
彼の大きな手に自分の手を重ねる。
「え......」
「最後の最後。帝人さんが彼らから手を離す瞬間まで諦めません。頭を下げて許していただけるなら、帝人さんの為に喜んで何回でも頭を下げます。」
彼の手は、痛いほど震えていた。
「どちらの道を選んでも後悔する日が来るかもしれません。でも、自分が選んだ道で後悔できる事は幸福だと思います。本当に大切なもの、譲れないものからは手を離したらダメです!たとえ、血を吐くような思いをしても。」
グイッと腕を引かれたと思えば、抱きしめられていた。
「僕は......」
今、彼の身体は震えている。帝人さんはMooNsのメンバーが本当に大好きで、彼らの一番のファンかもしれない。
「私も諦めた夢があって後悔してないといえば嘘になります」
「そうだったんですか......なまえさん、僕は。」
彼の中できっと答えなんて出ている。でも、それを押し通すだけの勇気がない。今まで反抗なんてしてこなかった。
『アイドルになる。』それが唯一の反抗だったのだろう。
彼の背中に回した腕に力を込めて抱き着く。
「逆境の中でアイドルをしている帝人さんはすごいです!『人に伝える力に秀でている』きっと天職ですよ。これからもっとファンの人達や私達をドキドキ、ワクワクさせてください!」
「ははっ、なまえさんって本当は鋭いですよね。」
抱きしめられたままそんな事を言われるけどーー
「愛染さんにも『鈍いのか鋭いのか分からない。』と言われました。全く意味が分からないのですが......。」
「ふふっ、自分の魅力には自分で気づかないものなんですね。」
「え?」
どういう事だろう?
でも......。
「笑いましたね、素敵な笑顔です。笑ってないと勿体ないですよ!」
そういうと私はその脇腹をくすぐった。
「ちょ、やめてください!」
彼は笑いを堪えているけど。
「案外、笑ってたら『小さい悩みだったんだ。』って思えるかもしれません。」
私はくすぐり続ける。座った状態で攻防戦が続く中、
「ふっ......、ははっ!本当にダメです!」
「わっ!?」
彼に腕を掴まれたと思えば、
ーードンッ、
二人で倒れてしまった。
側から見れば、私が彼に覆い被さっている状態だ。