【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第28章 守りたい君の居場所
「龍広、落ち着いて。」
増長さんもそばに来て彼を宥めてくれた。
「一体何があったのか、話してくれる?帝人。」
「みか......。」
彼はポツリ、ポツリと話しだす。
「幼い頃から僕は完璧を求められてきました。『皆の模範になるような人間になれ。』と父から強く言いつけられて来たんです。」
厳しい家庭で育ったから、洗練された雰囲気なのかな?
「失敗は一つだって許されなかった。認められたくて、死に物狂いで勉強しました。僕が完璧ならうちの中が平和になる。父は釈村家の絶対的な存在なんです。」
「昔から厳しい人だとは聞いていたが......。」
「でも、ソレとコレとは!」
暉くんは、気付いていないんだよね。
「アイドルをする時に何か条件を出されたんですね?」
厳しい親がアイドルを許したのも奇跡だろう。
金銭的にも親の許しがなければバンビにはなれないだろうし、何か条件を出されたと考えるのが普通だ。
「はい、条件付きでアイドルになる事を許してくれたんです。だから、約束は守らないといけません。」
「約束......?」
「今、アイドルを辞めるという約束です。辞めるタイミングは父に従うという......。」
「なんで、そんな約束!」
「みか......。」
「僕にはそれしかなかったんです。」
彼は5日後に実家に戻るらしい。仕事のタイムリミットはそこまでだ。
「アイドル、辞めたくないんだよね?もう一度ちゃんと話せば分かってくれるよ!」
「話せば分かる......?そんな相手でしたら、僕だってこんな事言いませんよ!」
遂には声を荒げる帝人さん。
「今回ばかりはどうにもならない事なんです。」
「んー、もう!イライラする!!そんなのただ逃げれるだけだろ!
仕方ないって諦めるしかないって、自分に言い聞かせてるだけじゃん!人生はたった一回きりなのに!」
その言葉を言ったのが暉くんだから余計に心に響いた。彼は命をアイドルにかけているから。『命を削りながらアイドルをしている』と言っても過言ではないから。