第25章 KICK OFF !

「でも、増長さんはライブは行ってくださいね」

「どうして？」

彼はつばさちゃんに変なことしないって言ってたし。

「なるほどね。澄空さんにも悪戯しちゃおうかな」


そう聞こえれば、耳元に口を近づけられる。

「みょうじさんにした、あんな事やこんな事。」


ええ！？

彼にされたことを思い出すと、顔が熱くなる。


「ぜ、絶対にダメです！それは、ダメ！！」

「やきもち焼いてるの？」

「何がですか？」

「みょうじさんには、もっと沢山してあげたいな」

「つばさちゃんには少しもダメですから！！」

「どうしようかな」

「行かないでください！」


「俺、行きたいんだよね。我慢したら、みょうじさんが代わりにデートしてくれるの？」

再び耳元で囁かれた言葉。


「し、します！しますから！！」

「わかったよ。仕方ないから、行かないね。」

「ありがとうございます！」

「うん、いいよ。」


よかった......つばさちゃんを守れた。


「愛染さんも私との方が絶対にアリですからね！！」

言うとすぐに抱きしめられる。

「なまえ、愛してるよ。」

「く、苦しい！！」

「何でだよ！？コイツが一番ナシだろ？」

「剛士、男の嫉妬は見苦しいよ」


「何言ってるんですか？だからですよ！こんな危険人物と可愛いつばさちゃんを二人にできません！」

「なまえの嫉妬はとっても可愛いね。」

「お前......コイツの話聞いてたか？」

何やら剛士くんが哀れみの目を向けている。


「うるさいな、なまえの愛情表現は分かりにくいんだよ。」

「愛染さんが勝ったら......勝たないでくださいね。私の為に！！」

「ほら、可愛い。」

そのまま、ギューッと抱きしめられた。


「はあ......お前は幸せ者だな。」



「俺は人数合わせに来ただけだよ。一番の理由はなまえに会いにだけどね」