【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第24章 Dangerous Act !
きっと、もう大丈夫だ。
最後に見た彼の瞳......それを思い出していた。
北門さんの所へ戻ると、すぐに撮影が再開する。
河川敷でのラブシーン撮影だ。
キャリーケースをもって歩いていく美奈子を俊秀が「好きだ!」と引き止めるシーン。
何か苦戦してる?
不安に思い見ていると、その場面が何度も撮り直しになっている。
「あなたの前に居る女は誰?台詞は読むものじゃないの」
麦倉さん......。
北門さんは容姿性格で家柄もすごい。
仕事もそつなくこなすし、本当に非の打ち所がない人だ。
こんな彼を見るのは初めてかもしれない。
大丈夫かな?
腕を掴んでからの「好きだ!」その場で立ち止まってからの「好きだ!」自分がその役を演じるなら彼のようには演じない。
それが答えだろう。
撮り直しもかなりの数になり監督も頭を抱えている。
どうしよう......。
「俺の話聞いてたか?命がけって言ってるの。お前の命掛けってそんなものなのかよ!?」
指摘は正しいけど北門さんの気持ちを考えたら胸が痛んだ。
遂に辺りに街灯がつき始める。
完全に日が暮れてシーン58は結局明日撮り直しとなってしまった。
途中から様子を見に来てくれていたつばさちゃんと北門さんと一緒に関係者の方に謝罪に行って、その後は麦倉さんの元に向かった。
「申し訳ありません!」
「すみません」
「あの程度の好きじゃ女の気持ちは変えられないわよ」
彼女の意見は最もだ。
「彼へのご指導ありがとうございます。本当にご迷惑をおかけして申し訳ございません。なんとお詫びしていいか......」
私はもう一度彼女に頭を下げた。
さっきの厳しい発言は......彼女が演者としてプロだから出た言葉。
「ふーん......その子は何がいけなかったか気づいてるみたいね?優秀なA&Rじゃない」
彼女は長い髪を靡かせて颯爽と行ってしまった。
綺麗なだけじゃない......演技を愛している。
それ故に人にも厳しい。
でもそれはその人の成長に繋がる。
とても優しい人なんだ......。
「つばさちゃんも一緒に謝ってくれてありがとう。北門さんも......大丈夫です!絶対良いシーンになりますよ!」
「ごめんね二人とも。なまえにはちょっと付き合ってほしいんだけど」