第23章 沢山の愛をキミに

「みょうじさん！」
「なまえ！」


あっ、増長さんと北門さん。


「捕まえた！」

「へっ！？」

ギュッと増長さんに抱きしめられる。


「増長さん、大変です！！」

「どうしたの？桜、可愛いね。似合ってるよ。」

「ありがとうございます。私は花の中で桜が一番......じゃなくて、なんだか危険人物の様に言われてます！」

「どういうこと？」


「なまえにとって和南が一番危険なんじゃないかな？って話してたんだよ。」

「健十からそんな事を言われる日が来るなんて......。」

「ほら、やっぱり誤解ですよ！」

「そうだね、危ないかも。」


え......。


「ええええっ！？」

「だって、こんなに可愛いんだよ？手を出さないとむしろ失礼に当たるんじゃないかな？」

「もう、喋らないで下さい。」

彼の口を両手で塞ぐ。
彼って元々どんな感じだったけ......思い出せない。


「待って、手を出されたの？」

北門さんが私の肩を掴む。

「だ、出されてないです！」

というか、二人ってやっぱり仲良しになったのかな？映画を二人で観に来ていたわけだし。


いや、でも北門さんのお姫様は竜持くん？とにかく、ここは誤解されてはいけない所だ！！


ギュッと手を握られた。

「増長さん......？」

「あれを出されてないと見なすの？大胆だね？」


彼は素敵に微笑んでいる。

そうじゃなくて、増長さんのイメージと北門さんとの友情を守ろうと......！


「もう、ちょっと！本当に、面倒な事になるので喋らないでください！！」

「カズ、どういう事？」

「二人だけの秘密だよね？」

「誤解を招きそうな言い方を、敢えて選ばないでください！」


何で、そんな火に油を注ぐような事を？
上級者テクニックなの！？


「ふふっ、ごめん、ごめん。」