【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第21章 新たなMelody
翌朝レッスンルームの扉を開けると、殿さんの姿があった。
どうやら、自分のフリを見てほしいとお願いしているようだ。
覗いていると、唯月さん、遙日さん、不動さんもやって来た。
彼らとその様子を見守る。
「では、見せてもらいましょう」
その声に殿さんは踊り出し、あっという間にダンスは終了した。
やっぱり、昨日と変わってない......。
彼がその理由に気づかない限りは、改善される事はないだろう。
「今日、スタジオに付き合え」
レッスンが終わり、剛士くんに呼び出された。
悠太くんと愛染さんも一緒にマンションに帰ってきた。
『アイドル育成もA&Rの仕事』篤志さんの言葉が身に染みる。
育成できているのか怪しいけど......。
「お前ら何やってんだ?」
マンションのロビーに座り込むのは、不動さんと唯月さん。
二人の目線の先には、殿さんの姿があった。
「ほっとけ」
そのまま、剛士くんは歩いて行ってしまった。
「あれ、ハルは?」
「ハルは......フリ練習でレッスン室に」
突然のセンター交代で、遙日さんも大変だもんね......。
「あの、本当にどうしてトノはセンターを降ろされたんでしょうか。トノのダンスの何が悪かったのか、僕たちには分からなくて」
他の皆も悩んでいるようだ。
「トノちゃんのダンス、キレッキレで本当にすごいもんね。あそこまで完璧に踊れる人居ないよね」
確かにダンスのクオリティだけなら、殿さんの方が愛染さんより上だ。
「もう一人のセンターはしょっちゅうポカしてるけどな」
「分かってないなー、剛士。それも含めてパフォーマンスだろ?」
「女の子と遊ぶ時間があるなら、練習してくださいね?」
「なまえはやきもち?」
「はい、はい」
「なんか、俺の扱いが雑じゃない?」
「え、そうですか?」
「でも、つまり......求められてるのは完璧なダンスという事だけじゃないって事ですね!その点では愛染さんは、Bプロ内でもピカイチかもしれません。殿さんは勉強になりますよ!」
「なまえ、Bプロで一番俺が好きだったなんて」
「え......話聞いてました?」
グイッと腕を引かれて腕の中に収まる。
「なまえは特別。他の女の子とは違うよ」