【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第13章 桜色に染まる
「今日は、本当にありがとう」
皆さんを送り届けると、玄関で増長さんと話す時間があった。
他の人達はお風呂だったり、自室に戻ってしまったようだ。
「こちらこそ、ありがとうございました!私も貴重な体験ができました。相手が知っている人、増長さんで良かったです!」
「知らない人だったら、俺が困るな......」
どういうこと、かな......?
「あの時、唇触れたの分かった?」
え......ええっ!
「き、気のせいだと、自意識過剰かと、脳内消去しました!」
かぁーっと、恥ずかしさがこみ上げる。
「ごめんなさい!事故とはいえ、大切な唇を盗んでしまうなんて」
思いっきり頭を下げた。
でも、してしまったものは返せないし......どうしよう?
「明日には忘れて、無かったことにしましょう?」
そちらに近づいて、袖で彼の唇を拭った。
「俺、一生忘れないって言ったよね?」
グイッと、腕を掴まれて耳元で囁かれた言葉。
「わざとだから」
「わ、ざと?」
「うん、わざとしたんだよ?」
「うーん、いとてきに、奪わせようとした......どうして?」
「ふふっ、違うよ。意図的にみょうじさんの唇を奪ったんだよ」
「なるほど!そうなんですか。良かった......?」
ん?良かった?
でも、そんな事して......彼になんのメリットが?
デメリットしか無いよ?
「ふふっ、みょうじさんが可愛すぎたから」
あっけらかんと言った彼は、素敵な笑顔だ。
ドッキリ......?
いや、ドッキリって何?
そもそも、私に仕掛ける必要性は何?
頭の中がぐちゃぐちゃだ。
「誰よりも可愛いよ。だから、もう一回してもいい?」
どういうこと......?
じりじりと追い詰められると、背中が扉にあたる。
「沈黙は、肯定と取るけど......いい?」
前に『いくらでも応えましょう!』って言ったよね?
ここで拒めばやめてくれるけど、それだと嘘をついたことになる。
あの時みたいに、また傷つけてしまうんじゃないかな?
近づく気配に、私はそっと目を閉じた。
もう、なるようになれ!
柔らかくて熱いものが唇に触れる。
今度は触れているか、分からないという事はない。