第87章 あなたの瞳に永遠を誓います......(最終話)

次は指輪交換。

指輪を持ってきてくれたのは、なんとキスハグの撮影。
あの日のワンちゃんだ。


「ありがとう」

上手にこちらまで歩いて来てくれて、温かく迎え入れる増長さん。
そのまま頭を撫でて......その様子に胸がいっぱいになる。

「どこで感動してるの？」

「え？」

二人でしゃがみ込むとクスクス笑われた。


そのまま指輪の交換。


結婚指輪も二人で選びに行ったけど、そもそも増長さんが色々考えてくれてて。


桜がモチーフのリングは、二本が繋がると桜の花びらの彫刻が現れる。


「はい」

左手を取られるとそのまま薬指に。


「ありがとうございます。私も......はい」

「ありがとう」

指輪の交換もスムーズに終わった。


そして、遂に誓いのキス。
誓いのキス......あの日を思い出す。


優しくベールを外されると、

「もう、泣いたの？」

小声で聞かれる。


「泣きました......」

目......赤くなってるのかな？


「それでは、誓いのキスをお願いします」

司会者さんの声が響くと、目を閉じた。


あれ......？

柔らかいものが触れたのは瞼で、打ち合わせでは唇だったような。


拍手が聞こえてそのまま目を開けると、

「目、閉じて......」

顔が近づいてきて慌てて目を閉じた。


今度は唇に柔らかなものが触れる。

誓いのキスは写真を撮る人の為に少し長めにキスをしないといけないみたい。


以前の舞台みたいに仕事じゃないから、余計に恥ずかしい。

増長さんは余裕だから、打ち合わせにはない瞼にキスとかしてくるし！

結婚式本番でも振り回されっぱなしだ。


挙式はスムーズに終わってチャペルから出ると集合写真の撮影にうつる。