【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第87章 あなたの瞳に永遠を誓います......(最終話)
遂に、この時を迎えた。
「俺は先に行くけど、転ばないように気をつけるんだよ」
入場はチャペルの外の階段から。
新郎は一足先にチャペル内へ。
試着の時以降、初めて着たとは思えない振る舞いに驚かせられる。
増長さんがアイドルになった理由はお母さんだけど、彼にとってアイドルは天職だと思う。
「お父さん......宜しくね!」
父の手に手を重ねると、子供の時はもっと大きかった気がした。
『年をとったんだな......』ってなんだか胸がいっぱいになる。
「なまえ、大きくなったな......」
私達をこれまで育てるのに、沢山の苦労をしただろう。
沢山の喧嘩や反抗もしてきた。
お父さんとお母さんはすごい。
私も彼と、二人みたいな夫婦になりたい。
お父さんのエスコートで階段を下りて、チャペルの扉の前まで歩く。
大きな扉が開いて、心地よく響くのは定番の結婚式の曲と大きな拍手。
そのまま、お母さんの元に行くとベールダウンをしてくれる。
これは『魔除け』の意味。
見上げた顔は泣き出しそうで、
「お母さん......」
「なまえ、おめでとう」
母の頬に触れると私も視界がぼやけた。
お父さんが機転を利かせて腕を引いてくれる。
そのまま、二人でバージンロードをなぞっていく。
この道は私が産まれてからこれまでの人生。
ゆっくり、ゆっくり、一歩、一歩、踏みしめて彼の元へ。
「増長くん、なまえをお願いします」
「はい、一生大切にします」
お父さんの手から、増長さんの手に私の手が重なる。
優しくエスコートされて腕を組む形になるけど、本番前に一度しか練習してないのに違和感が無くてすごい。
驚いた表情をしてたかな?
目が合うと笑われた。
司会者さんの開式宣言の後は、誓いの言葉。
『せーの』
顔を見合わせて、同じタイミングで息を吸い込んだ。
「「本日、私達はご列席いただいた皆様の前で結婚の誓いを致します。私たちは、病めるときも、健やかなるときも、愛をもって、生涯お互いを支えあうことを、本日ここにいらっしゃる皆様の前で誓います」」
式は人前式にすると決めていた。
皆との距離が近く、感謝を伝えるのには理想的だったから。
本当に親しい人達だけで挙げる、私達らしい式。
大切な人達が見守ってくれている。