【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第86章 君と僕、辿り着いた場所
嬉しそうに見つめられた私は、疑問顔だろう。
「......名前で呼びたい願望なんてあったんですか?」
そんなことは、今まで一度も聞いたことなかった。
私自身も名字で呼び合うことに慣れてしまっていたし、増長さんから名字で呼ばれるのは好きだったから。
「好きって気付いてから、ずっとあったよ。でも『自分の力で名前で呼び合えるようにしよう』って......途中からはもう願掛けみたいな感じだったかな?」
頬に手を添えられると、額をくっつけられる。
「俺の名字をみょうじさんにあげたら、名前で呼び合うしかないからね」
「ふふっ、増長さんが願掛けって......なんか、可愛い」
私も『泣かない』って願掛けしてたけど、増長さんはしっかり者だし現実主義だと思うから。
「今、ちょっと馬鹿にした?」
「え?......してないですよ!」
「まぁ、いいけど。今日から呼んでね」
「はい、嬉しいです!」
「それでは、そんな可愛いあなたに問題です」
額を離すと大きな両手を握った。
「ふふっ、やっぱり馬鹿にしてる?はい」
「ふふっ、このドレスは白色ですよね?」
オフホワイトの生地に控えめのダマスク柄のレース刺繍があしらわれていて、胸の部分は花モチーフのレース刺繍だ。
裾部分は軽やかなチュール素材。
「うん、よく似合ってるよ」
見つめる視線が照れくさい。
「ありがとうございます。でも、どうして白色でしょうか?」
「なるほど......お姫様は知識が尽きませんね?」
「王子様はたじたじですか?結婚式への憧れが強すぎます?」
私は彼を困らせているみたいだけど、真剣に悩んでくれる姿に思わず口元が緩んだ。
「そんなところも可愛いよ。どうして?ねぇ、教えて」
優しく微笑む彼に向けて、心からそう思う。
「あなた色に染めてほしいからですよ」
白いドレスにはそんな意味がある。
だから、何色にも綺麗に染まる白。
その両頬に手を添えると、綺麗な瞳に吸い込まれそう。
「私を増長さん色に染めてください。これからも、ずっと......大好きです」
俯いた彼に不安になる。
変なこと言っちゃったかな?
「ほんとに......」
次に聞こえた言葉は衝撃的なものだった。