【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第86章 君と僕、辿り着いた場所
現実離れした広くて素敵な部屋はお姫様になったみたい。
何度もこの日を夢見た。
「準備、出来た?」
鏡越しに目が合って、そこには衣装をまとった増長さんの姿があった。
タキシードは白地に控えめのストライプ、ベストとタイはシルバー。
「はい......素敵です。とても似合ってます」
そちらに歩み寄ると正面に立つ。
見過ぎだよね......?
「破壊力がすごいです......」
顔に熱が集中して、思わず頬に手を当てる。
そちらを見上げて目が合ったけど、全く反応が無いような。
「増長さん......?」
そっと、顔を覗き込むと
「きゃっ!」
強く抱きしめられた。
「ごめん......綺麗すぎて......」
「えっ......?」
「本当に綺麗。すごく綺麗で......すごく可愛い......」
大好きな彼に褒めてもらって、心臓が暴れるようにうるさい。
「褒めすぎですけど......ありがとうございます。綺麗すぎるのは増長さんですから」
身体を離して、その頬に触れた。
あっ......スタッフさんの前だった。
「すみません」
そちらに軽く頭を下げる。
恥ずかしい......。
「ふふっ、本当に仲良しで微笑ましいです。とってもお似合いですよ」
「ありがとうございます......」
嬉しいけど......照れくさいな。
「まだ時間があるので、しばらくこちらでお待ちくださいね」
そう言い残して、スタッフさんは出て行ってしまった。
「本当に今日......俺のものになるんだね」
こちらを見つめる優しい視線。
改めて言い表されると、不思議と恥ずかしいものがある。
「はい、なりますよ。でも前から増長さんのものですよね?」
だって、私は婚約者だったんだから。
「全然、違うよ」
「えっ......?」
あっという間に、再び彼の腕の中にいた。
「式中はみょうじのままだけど、式が終わったら名字が同じになるよ?」
増長さんの声色は、顔を見なくても分かるほど嬉しそう。
「そっか、そうですね!」
それが一番大きいことかもしれない。
長らく一緒に過ごしてきた名字......名字が変わる。
「それが終わったら......やっと、名前で呼べるね」