【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第82章 想像する君との
「それは驚いたよ。俺が『みょうじさんに似合うだろうな』『着てほしいな』って思ったんだ」
「え......?」
やっぱり知らなかったんだ。
「そしたらみょうじさんが『着たかったものだ』って。やっぱり俺達は赤い糸で繋がれてたんだよ。例え運命じゃなくても」
増長さんが前を向くと再び車が走り出す。
「そしたら何の赤い糸ですか?」
「うーん......そこまでは考えてなかったかも」
真剣に悩み出す様子に思わず口元が緩んだ。
「ふふっ。でも、ありがとうございます」
「どういたしまして。でも、衣装は......俺が決めちゃったみたいなものだし」
何度か衣装選びに行って、悩む私に決断してくれたのは増長さんだった。
彼が『可愛い』と思ってくれる物を着たかったから、むしろ私は有難いんだけど。
「増長さんのも私が決めたみたいなものですよ」
逆に私はタキシードを選ばせてもらったり、楽しかったな。
「そっか。俺達は自分より、お互いの方が相手のことをよく分かってるかもしれないね」
「はい。増長さんはどうか分かりませんけど、私は感情まで筒抜けですし......」
「ふふっ、そうだね」
色んな話で笑い合っている間に、車はマンションに到着した。
「ありがとうございました」
シートベルトを外して車を降りようとすると腕を掴まれて、
「待って......忘れ物」
そのまま唇に柔らかいものが触れる。
一気に熱くなる顔も、いつものことだ。
「もうすぐだけど、後悔はしてない?」
「もちろん、後悔なんて無いです!」
「良かった......」
安心したみたいな優しい笑顔に胸が温かくなる。
退院してからの数週間は同じ家に帰ってたけど、その日からしばらく経っていた。
だから......言いはしないけど『早く同じ家に帰りたい』とは思うかも。