第80章 全てを知りたい

「まだ、眠ってるんだね？」

彼らの元へ行くなり、つばさちゃんが声をかけてくれる。
その顔はとても不安そうだ。


「うん、でも大丈夫だよ！」

どうして、気づかなかったんだろう。
私が不安な顔をすると皆に心配をかけるって。


笑顔でいないといけない......。


「なまえちゃん、驚いたわね......」

こちらに駆け寄ってきた人に抱き締められる。
夜叉丸さん......彼はお兄さんみたいでギュッとされると安心する。


「はい。でも、大丈夫ですよね......？」

「そうね......和南なら大丈夫よ！」

優しく微笑んでくれる彼。
その力強い瞳に救われた。


なんだろう？

背後がやけに騒がしい。
ナースステーションの方......？


どうしたんだろう？

ゆっくり振り向くとーー、


「わっ！」

そのまま、後ろに転んだ。



......なに？

見上げる先は、今にも泣きそうな瞳。