【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第80章 全てを知りたい
どうして......こんなことに?
頭を占めるのはそんな疑問ばかりで、きっと放心状態だったと思う。
わけも分からないまま、重たい足取りで病院に来ていた。
「なまえチャン......隠しててごめんね!」
病院に着いてすぐ、暉くんが教えてくれたこと。
増長さんが少し前から『記憶を取り戻す方法』を探してたこと。
私達に関わる場所や、色んなところに足を運んでいたそうだ。
「舞台の時にあの人を見た時もそうだったけど、リーダー頭が痛いって顔色が悪かったんだ」
最終的にはあの場所......あの日の歩道橋に辿り着いた。
「頭を抱えて階段の下で倒れたって......」
結果的には側にいた人が助けてくれて、病院に運ばれたそうだ。
過去の話を聞かれることは、不思議なくらいなかった。
私も勿論「今のままでもいい」と思っていた。
それなのにーー
「どうして記憶を......取り戻そうとしたんでしょうか?」
私にはその理由がさっぱり分からなかった。
「僕は、その気持ちが分かるかも」
肩をぽんっと叩いて隣に座ってくれたのは竜持くん。
「理由はきっと......なまえに、本気で恋をしたからじゃないの?」
私に......恋をしたから?
「どういうことですか?」
「好きになったら、相手の全てが欲しくなるよね。なまえの全てを知りたくなったから......僕はそう思うよ」
つまりはーー
「私のせいで......こんな目に......」
悪い方に悪い方に考えは流れていく。
「それは違うよ!きっと、僕たち皆だけど......まっすーがなまえちゃんと出会えて良かったって......!」
「明謙くん......」
「大丈夫、大丈夫だよ......」
こちらに来た悠太くんが、優しく背中をさすってくれた。
不安な中でも皆の言葉はとても優しくて温かくて、
胸が熱くなったーー。
「早く目を覚ましてください......」
あの後は、ずっと病室に居た。
増長さんは綺麗な顔で眠ったままだ。
また、声が出なかったら?
それは一時的なものじゃなかったら......?
どんどん不安は加速する。
「少し出てきますね......」
柔らかな髪の毛を撫でると、病室を後にした。