【B-PROJECT】あなたの瞳に永遠を誓います......
第79章 抑えきれないこの想い
「リーダー!俺の好きな歌手のMimiが、活動を再開するんだよ」
病室に着くなりMimiの話が始まった。
『それってどんな人なの?』
和南のよく知ってる人だけど、教えられないな。
「んっとね、チョー可愛くてチョー歌がうまい!!」
「おい......雑だな」
「ええ!?雑じゃないよ!!」
こいつらに任せてたら、話が脱線しそうだ。
「顔出ししてなくてメディアで曲が流れない、特殊な歌手活動をしてたんだけど......可愛い子だよね」
咄嗟に口を挟んでいた。
「ケンケンは女の子なら誰でも可愛いんじゃないの?」
「悠太......なんか失礼じゃない?」
「ええっ!そうかな〜?」
『顔を出ししててないのにどうして皆は顔を知ってるの?』
「えっと、それは〜」
「リーダーには今度話す。その時に聞いてくれ」
『百分かったよ』
なまえは大丈夫かな?
少し前から様子がおかしい。
原因はおそらく......和南だろう。
『今日は剛士は一緒じゃないんだね?』
和南の質問は予想通りのもの。
悠太と俺が居て、剛士が居ないのはおかしいからね。
「ごうちんは、なまえちゃんと一緒だよ〜♪」
悠太の言葉に和南の表情が曇った。
「なまえと金城は昔から特別仲が良いからな......」
百の発した言葉に、それは更にひどくなったようだけど。
これで本人は気づいてないのか?
「和南は本当におもしろいよな。分かりにくいんだか、分かりやすいんだか......」
和南を見れば、はっとした表情を浮かべている。
『なんのこと?』
それは分かりやすいくらいの殴り書きだ。
本当に......自覚ないのか?
「ははっ、そんなこと......お前が一番分かってるだろ?」
なまえのことは大好きだし大切だ。
でも、もう良いかなと思う。
二人はこれまで色々なことを乗り越えてきて、今回は特に深刻だ。
なまえは、和南に何も言わずに頑張ってる。
『婚約者』だって言って、もっと困らせてやればいいのに。
使える物は全部使う。
俺はそういう人間だけど、なまえは違う。
そういう姿を見ていると応援したくなるのは当然で、他の奴らもきっと同じだ。
だから、これくらいの意地悪は許されるよね?