第78章 今の僕で

「本当にありがとうございました。私もなにかお返しをさせてください！」

車に乗ってから、第一声はそれだった。


「いいの？」

「勿論です。私に出来ることなら、何でも言ってください！」

頬に手を添えられると引き寄せられた。


「俺は、その笑顔が見られたらいいんだけど」

「えーっ、でも、何か欲しい物とかないですか？」

「ふふっ、甘えてくれないの？」

「それはだめです！」

口元に手を当てて笑われる。



「それなら、帰るまでに考えるね」

そっか帰り道......少し時間がかかるもんね。


「はい」

私だって同じだ。


彼を喜ばせることがしたいーー。