• テキストサイズ

ダイヤのA-短編集-

第1章 【御幸】そんくらいの、大きなこと




休み時間は残りわずかだが、校舎の外のベンチに来ていた

御幸「どうした?座れよ」

隣をポンポンと叩いた。
素直に座ると御幸はふぅっと息を吐いた

柄にもなく緊張してるのだろうか

普段は照れもなくじゃれ合う2人が
こんなにも言葉少なく、ぎこちないのはおそらく初めてだった

遠藤「…どっから聞いてたの?」

沈黙に耐えられなくて思わず聞いた

御幸「んー、告白しない理由のあたり。」

遠藤「(本人から聞かれてた内容を告げられるのはこんなにも
恥ずかしいのかっ…)」

遠藤は再び顔が赤くなるのを感じた

御幸「お前やっぱ最高だよ」

遠藤「え?」

びっくりして御幸の顔を見ると、彼の顔もほんのり赤く
でも優しくこちらを見ていた


御幸「俺は正直迷ってた。このまま告白しちまおうか、
それとも引退まで専念して結果出してからカッコよく告白してやろーか。

…でも心が決まったわ。」

そう言うとスッと立ち上がった
日にあたって色が抜けた茶髪がキラキラ光ってる

御幸「遠藤が強い意志を持って俺の引退を待っててくれんなら、俺は心置きなく野球に専念する。

それで、高校での全てが終わったら

カッコよく告白すっから。ちゃんと良い返事してくれよな」



野球やってる時や野球のこと考えてる時は
真剣でまっすぐでかっこいいのに

慣れてる相手と話す時はなんだかだらしない

仲良くなってからだらだらと無駄絡みして
過ごしてたからか真っ直ぐにこの目を向けられたのが
初めてだからなのか


最高にカッコいいこの男は本当にずるい


遠藤「待っててあげるから絶対全力で頑張ってよね」

御幸「んなもん言われなくても」

こっちが照れて語彙力もなくなる
誤魔化そうとして遠藤も立ち上がった

遠藤「絶対だよ!!」

御幸「…おう。」

悔しくて悔しくて、でもこんなカッコいい男に
告白を予告されたのが幸せ過ぎて

御幸「お前…これくらいで普通泣くかね」

ぽろぽろと涙が出てきてた
御幸はそっと頭を胸に引き寄せて背中をゆっくり叩いた

頭に顎を乗せて話しかける

御幸「お前ほんとに待てんの?」

遠藤は顔も見ずにただ頷いた
御幸ははぁっと息を吐いて今度はグッと抱きしめた


/ 6ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp