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愛のカタチ~貴方と見る世界~【ONE PIECE】

第1章 プロローグ



グラスをリリカに向け、献杯をすると二人は一気に飲み干した。

「目ぇ覚ましたら、話してみるか。リンは、12歳だよな?」

「あぁ。12でたった一人の親を亡くした…か。そういや、お頭。俺たちァ、リリカのことなんも知らねぇな。」

「そうだな。産まれた島や、アイツの父親のこと、リリカの蒼の瞳や、リンの虹色の瞳のこと…確かに知らないことばかりだな。」

シャンクスは、今までのリリカとの話を思い出していたが、その中にリリカが自分の素性を語ったものはなかった。

「もしかしたら、アイツには何かを話してるかもしれねぇな。」

「あぁ、とにかくリンが目を覚ますのを待つしかなさそうだな。」






──────

あんなにたくさん泣いたのは、初めてだ。
シャンクスの優しさに甘えて、我を忘れて泣いた。たくさん泣いたつもりなのに、涙は枯れることを知らない。

リンは、眠りながらも泣いていた。それは、夢の中に、母リリカが出てきたから。

「おかあさま……」
目を開けたら、いなくなってしまいそうな気がして、目を開けられない。

「置いていかないで……」
目を閉じたまま、涙を流し呟くリンに、シャンクスが声をかけた。

「おい、リン…大丈夫か?」
その声に、夢の中の母は消えてしまった。目を開けたリンはシャンクスの姿を捉えた。

「…シャンクスのバカっ!」

いきなり言われた暴言に、シャンクスは、怒った。

「なんだよ、バカって!」

「声をかけるから!おかあさまが消えてしまったじゃない…」
だんだんと小さくなるその声に、シャンクスは申し訳なさを感じ、リンの小さな頭を撫でた。

「そうだったのか。夢の中で会ってたんだな。それは悪いことをしたな。」

「……ごめんなさい…シャンクス。」

ホントは、シャンクスは何も悪くない。そんなことはわかっている。でもそうでも言わないとやってられなかった。きっとシャンクスも本心じゃないことは分かってくれているはずだ。

「いや、いいんだ。なぁ、リン。お前、母親のことをどのくらい知っている?お前自身のこと、どのくらい知っている?知ってるなら、教えてくれないか?」

「……知らない。」

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