愛のカタチ~貴方と見る世界~【ONE PIECE】
第4章 船長の気まぐれ
ローの部屋《船長室》では、リンとベポが楽しそうに話している。
「ねぇ、ベポ。眠る前にシャワー浴びたいのだけど…」
「ここ、シャワー室あるよ?」
長い時間、湯船に浸かるのはよくないが、軽くシャワーを浴びるならいいだろう。
今日、逃げてくるのに、走って汗もかいてる。
それに他人のベッドを使わせて貰うのだから、汚れた身体で寝るなんてできない。
着替えは持ってはないけれど、安静なんだから、寝てるだけ、貸してもらおう。
「タオルと着替え、ここに置いておくね。」
そう言って置かれていた服は、ローのもので、背の高いローが着れば上半身で収まるが、リンが着ると太腿の辺りまで来てしまうような、ボタンのついた白いシャツだった。
船長やペンギンやシャチが見たら鼻血モノの格好になってしまった。
「おいで、髪の毛乾かしてあげる。」
自分の格好を見て、赤くなってモゾモゾしているリンを、ベポはドライヤーを持って待ち構えていた。
「…お、お願いします…」
乾かし終えるとベポは、リンがドライヤーの心地よい風に促され眠ってしまったことに気づく。
「あ、寝ちゃった…疲れたんだね、おやすみ……」
そう言って、リンをベッドに寝かせ、布団を掛けて部屋を出た。
のちに、ローはリンのその格好を見て、驚くのだが…今はまだ少し先の話。
ローが指示を出し終え、船長室に戻ろうとしていると、ベポが操舵室に入ってきた。
「ご苦労だったな。アイツは?」
「寝ちゃった。シャワー浴びたいと言うから、シャワー浴びさせたよ。」
「そうか…」
そう言って、ローは操舵室を出ていき、自分の部屋に戻った。静かに扉を開けると…
…スーッ…スーッ…
穏やかな寝息が部屋内に響いていた。
ローは、音を立てないように静かに扉を閉め、ベッドに近づく。
─そこには、あまりにも無防備で、天使のような顔で眠る女がいた。そんな彼女の寝顔を見ていると、何とも言えない衝動に駆られた。
そして、ローには珍しく、眠気が襲ってきた。
(この寝顔を…オレは…守りたい…)
自分の中でそんな感情が芽生えたことに驚き、これ以上考えないようにと、彼女の寝顔から目を逸らして、ローはソファーに横たわった。
目を閉じると、いつの間にか、眠りに落ちていた。