愛のカタチ~貴方と見る世界~【ONE PIECE】
第4章 船長の気まぐれ
「いい子だ…最初から素直に甘えりゃいいんだ。オレはソファーででも、仕事部屋ででも寝るから、お前ベッド使え。安心しろ、なにもしねェよ。信じてくれてるんだろ?裏切ったりしねェから。」
「…ありがとうございます。」
(一週間我慢すれば…)
ローは、彼女の答えに満足したのか、ニッと口角をあげリンの頭を撫でると、操舵室にいるクルーたちに指示を出すため、診察室を出ていった。
ローは、操舵室に向かう間に自分の心臓音が早くなっているのに気が付き、落ち着かせようとしていた。
(なんだこの心音の早さは…こんなの初めてだ …)
それは今までに経験したことがない。女を見てムラムラすることはあっても、心音が早くなるようなことはなかった。彼女のキラキラしたあの笑顔を、また見れたからなのかもしれない。
操舵室に入ると、ベポが海図を眺めていた。
「キャプテン…リンは?」
「一週間の安静が必要だ。オレの部屋で、ベッドを使わせる。ベポ、面倒見てやれ。船長命令だ。」
「アイアイサー、キャプテン!」
ローは、ベポがシロクマで人間の女に手を出すことはないから、という理由だけで任せた。ペンギンやシャチなら…鼻の下伸ばして彼女に手を出しかねないだろうと思った。
「え!キャプテン!あの子と同じ部屋?!ってことは、一緒に寝るんスか?」
心底羨ましそうな顔を見せるペンギンに、ローは盛大なため息を吐いた。
「バカが。オレはどこでも寝れんだよ。お前らを叩き出して、男部屋で一人悠々と過ごすのも悪くねェな…」
「そんなぁ。そしたら俺らどこにいけばいいんスか!」
ぎゃあぎゃあと喚くシャチが煩いと思う。
「知るか。その辺で適当に寝ればいいだろうが!」
なんとも冷たい船長だと、二人は思った。
「いいなぁ、ベポ…あの子の世話係とか羨ましい…」
ボソッとシャチが発した言葉をローは聞き逃さなかった。
「そんなに誰かの世話をしてェなら…」
「いや、いいっス…お断りします……」
(キャプテン…怖ぇ…下手なこと言えねぇな…)
ローが言い終わらないうちに、シャチは嫌な予感がして、慌てて両手を振りながら断り、自分たちの仕事をするため、二人はローの側から離れていった。