愛のカタチ~貴方と見る世界~【ONE PIECE】
第4章 船長の気まぐれ
リンもこの時、ローに恋をすることになるとは思っていなかった。ただ、なぜか彼女はローのことを”怖い”と感じてはいなかった。あの時助けて貰ったからなのか。海賊なのに、今まで見てきた海賊とは何か違うと感じていた。ローの優しさに触れ、彼女はこの後ローに恋をする。まだこの時は、その恋心が形になっていなかったのだが。
…コンコン。
ノック音がローの診察室に響く。
「キャプテン、連れてきたよ!」
ベポがリンを、診察室まで案内してきた。
「入れ。」
そう、返事があって、扉を開けるとローが机に向かって医学書を広げていた。
「ベポ、戻っていい。」
「アイアイサー。リン、また後でね。」
「ありがとう、ベポ。後でね。」
ベポは手を振りながら、入り口でリンと別れた。
「ここに座れ。」
リンは言われた通りに、黙って診察台に座った。
ローは傷を確認すると、無言で薬を塗っていく。
(綺麗な肌なのに、こんなに傷ついて…)
「…痛っ!」
痛みで顔を歪めたのを、ローは見逃さなかった。
「痛いか。お前…怖くないのか?」
「…怖いって何がですか?」
「オレたちは、海賊だぞ。店主のようにお前を売るかもしれない。簡単に信用していいのか?それに、男しかいねェ船だ。襲われるとか考えないのか?」
そう言っている間に薬を塗り終える。
「……」
リンは、ローの質問に黙り込んだ。
「内部を診る。能力を使う、驚くなよ…」
ローはサークルを貼り、おもむろに刀を取り出し、刃先を下に向け、スキャン!とゆっくりと横に刀を動かしていく。
何が起きてるのかと、リンは、大きな目をぱちくりしながらローを見た。
(大きな綺麗な瞳だ……)
「…お前…捕えられる時何があった…」
「え…」
ローは口ごもる彼女を見て、言った。
「まぁ…いい。大体わかった。」
そうして、リラの身体を切断した。
「きゃぁぁっ!なにするのっ!って、え?喋れる…?」
頭に疑問符を浮かべているリン。
「このサークルの中では、血も出ねェ。痛みも感じねェ。斬られても、死にはしない。あとでくっつける。治療のためだ。」
驚いているリンに自分の能力の説明をしながら、手際よく治療をしていくロー。
すると、彼女は突然先程のローの質問の答えを言い始めた。