愛のカタチ~貴方と見る世界~【ONE PIECE】
第2章 出会いは突然に
「キャプテン!俺も助けたい!」
シャチも、ベポに賛成だった。こうなってはもう、ローは折れるしかない。
「…ハァ……」
ローは大きく溜息をついた。ベポのつぶらな瞳の訴えの勝利だ。
「…勝手にしろ。言ったからにはちゃんと責任持って助け出してこい!いいな?」
「アイアイサー!キャプテン、ありがとう!」
ベポはローに抱きついた。ほら、やっぱりキャプテンは優しい人だ、とベポは心の中で思い、嬉しくなった。ベポに抱きつかれているローは、鬱陶しい、早く行け!とばかりにベポを引き剥がした。
そんなやり取りがされている間。
リンは、海賊の男に胸ぐらを掴まれたまま、答えた。
「仕事中ですから……すみません…」
さらに男は、胸ぐらを掴んだまま、彼女を軽々と持ち上げた。
「なら、仕事終わってからなら、いいんだよな?」
そう言ってニヤニヤ笑いながら顔を近づけている。
リンは、その顔を避けながら、大きな声でキッパリ言った。
「仕事終わってからも、お断りします!!」
男の顔に、だんだんと青筋が立っていく。
「ナメてんじゃねーぞ!コラ!!」
そう言って彼女を投げつけた。いくら自分の言う通りにならないからといって、女性に暴力をふるうなど、あってはならないことだ。
「きゃぁっ!!」
リンは、目を閉じて、衝撃に備えていた。
…………ボフッ……
(え…?痛くない…)
そぉーっと目を開けてみると、自分を受け止めていたのは、白く、モフモフしたクマだった。
「大丈夫?」
つぶらな丸い目が、心配そうに自分を見つめている。
「…は、はい。ありがとう。」
(このクマ、そういえば、さっきも……)
「…って、えぇっ?!く、クマがしゃべってる……!?」
リンは目をパチクリさせて驚いた。
「ここ、動いちゃダメだよ。」
「…あ、はい…」
ベポは、彼女をゆっくりと降ろし、酔っ払いの海賊に向かって構えた。
「女の子を投げるなんて、おまえ、人間のクズだ!」
ベポはその海賊に向かっていった。
……バキッ!ボコッ!ガッチャーン!!
リンは、闘う白クマと酔っ払い海賊の喧嘩を、顔を覆いながら見守った。白クマが、自分のために闘ってくれているのだ。
ローも、自分たちのテーブルで、その様子を静観していた。