愛のカタチ~貴方と見る世界~【ONE PIECE】
第2章 出会いは突然に
「それにしても、ここは盛況だな。」
何気なく呟かれたローの言葉に、お酒の注文を終えた、"PENGUIN"と書かれた帽子を被った男、ペンギンが頷いた。
「キャプテン、さっきから思うんスけど…」
シャチがふと呟く。
「なんだ。」
周りに気を配りながらシャチが発した言葉に耳を傾ける。
「案内してくれた店員の女、すっげー美女!!」
ローは、なんともバカなことを言い出したもんだと、シャチの言葉に頭を抱えた。
「たしかに!あのくらいの雌クマいないかな…」
「いや、いねぇだろ、ここにいるの、人間だし!確かにあの子、絶世の美女だよなぁ〜」
鼻の下を伸ばして納得し合う二人と、ペンギンのツッコミに項垂れる一匹の白クマ。
「はぁ…お前ら、揃いも揃ってバカなことばかり言ってんじゃねェ!」
(コイツら、そんなに女に飢えてんのか…)
ローは、彼らの会話に大きなため息をつきながら、そんなことを思っていた。
すると、注文したお酒が運ばれてくる。
「お待たせしました!」
運んできたのは、たった今話題になっていた女店員。
今、話題に出ていたからということもあり、ローはその彼女の顔を見てみた。すると、目が合い、笑顔を向けられる。
「…!」
言葉を失った。
(美しい瞳…オッドアイ…か?なんて破壊力ある笑顔だ…!)
ローは慌てて目を逸らし、赤くなっているだろう顔を見られないように帽子をさらに目深に被り直し、咳払いをして誤魔化した。
その弾けるような美しい笑顔に、その瞳に、ローは一瞬で心を奪われたのだ。
ドクン…と心臓が動いたのを気づかないわけがなかった。
つい数分前、シャチたちに、バカなことばかり言ってんじゃねェ、と言ったことを心の中で訂正した。
だが、ここに来なければもう二度と会うことはないだろう、すぐに忘れる、とローは思いながら目の前のお酒に口をつけた。
情報を集めるため、海賊は酒場を利用する。ローたちもそうだ。
「三日後、オークションが行われるらしいぜ。」
「どんな商品が出るんだろうな。」
ぎゃあぎゃあと騒いで煩いクルーを放置して、ローは店の客たちの会話に耳を傾ける。
彼は、ここシャボンディ諸島で、船のコーティングの他に、人身売買のオークションを見ようと思っているのだ。なぜなら、このオークションには、あの"ジョーカー"が関わっているからだ。
