第7章 初めてのお味は…
「ねぇエマ!君の歓迎会を開きたいと思うんだけど、どうかな?!」
「ええっ?」
それから数日。
気がつけばエマがこの世界に迷い込んでから半月以上が経っていた。
秘書としての仕事にも慣れて来て、すっかりここでの生活が定着しつつある頃、ハンジからの突然の提案を受けた。
「急なんだけど、今夜!」
「こ、今夜ですか?!あの…嬉しいんですけど、私なんかのためにそんな会を開いてもらっていいんですか…?」
「何言ってるのーいいに決まってるじゃない!むしろ遅くなったことを詫びたいぐらいだよ。」
ハンジからの急な提案には驚いたが、エマは素直に喜んだ。
わざわざ歓迎会を開いてくれるなんて、自分のことをちゃんと受け入れてもらえているような気がして嬉しかったのだ。
「ハンジさん、あの…ありがとうございます!すごくすごく嬉しいです!」
エマはとびきりの笑顔で気持ちをハンジに伝えた。
すると突然興奮したハンジが物凄い勢いで抱きついてきた。
「あーーーんもうその顔!反則だよ反則!!可愛い!!」
「ハ、ハンジさんくるしいです…」
「おっとごめん!エマのそんな顔見たら体が勝手に動いちゃったよ!場所は私の執務室だから。予定空けといてね!」
エマはハンジの腕から解放されると、乱れた兵服を整え返事をした。
数日前、エルヴィンから好意のあるようなことを言われて一時はエルヴィンと気まずくなりそうだったが、幸いと言っていいのかあれからあまり彼と顔を合わす機会がなく、その間にエマの気持ちもだいぶおさまっていた。
今夜の歓迎会にエルヴィンは来るのだろうか。
もし来たとしても他の皆も一緒だし、あれから随分時間が経っているんだ、大丈夫だろう。
エマはそのことについては楽観的に考えるようにして、せっかく開いてくれる歓迎会を純粋に楽しもうと思っていた。