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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第32章 北の地にて ※




リヴァイは はやる気持ちを抑えながら手早く泡を流すと、へたり込んでいるエマを抱き抱えた。


「きゃっ?!」

「もちろんもう終わったなんて思ってねぇよな?まだまだへばるのは早ぇぞ…」


額に唇を落としそう告げると、エマは恥ずかしそうに目を伏せながら小さく頷いた。




ふわふわのバスタオルで丁寧に身体を拭いてやる。

エマの肌は水滴を瑞々しく弾いていて、リヴァイはまるで吸い寄せられるように、無意識に手を伸ばした。

先の絶頂で敏感になっているのか触れるだけでエマはピクリと肩を揺らし、このまま掻き抱いてしまいたくなるが、ベッドまであともう少し辛抱しろと己を制す。


お互いの身体が乾いたところでリヴァイはもう一度エマを抱き抱え、脱衣所を後にした。







満ちた月明かりが差し込む部屋の隅。

その光を受けて青白く浮かび上がるシーツの上に、二つの物体は横たえた。


天井を向くエマの視界を埋め尽くしているのは愛しい恋人の顔。

言葉を交わさなくとも頬に手が添えられ少し頭が動いただけで、エマはその先を理解し瞼を下ろした。


「んっ……」


最初から貪るような口づけだった。

頬にあった手は湿った長髪を柔く掴み、肺いっぱいに鼻で息を吸う音がした直後、キスは激しさを増す。


「ふっ、……んぁ……」


リヴァイの右手は無造作に髪を掴み、時折 耳を弄ぶ。
反対の指先はゆっくり首筋から鎖骨をなぞり、柔らかな膨らみを優しく包み込んだ。


「…エマ」

「っ…リヴァイさん…」


二つの唇が紡ぐ音の狭間で 互いの名前を呼び合う。

リヴァイの声は掠れていて、瞼を開ければ悩ましげな表情に情欲の炎を燃やす瞳があった。

その官能的な視線と交わった刹那、エマは奥から熱い液体が溢れるのを感じた。



チュ……


名残惜しそうに離れる唇の間を繋ぐ糸が、きらりと光る。



激しく胸を上下させているエマの髪を撫で身体を抱き起こすと、リヴァイは細い首に手を回した。



ふと、エマは胸元にひやりとした温度を感じる。


下を見れば、そこには月明かりに照らされた薄桃色が優しい煌めきを放っていた。



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