第28章 長い夜 ※
ドンドンドン!!
「―……」
けたたましい音と共に、無意識の世界から引きずり出される。
ドンドンドンドン!!
朝っぱらからなんだ…
「リヴァイー!エマー!朝だよー!」
「チッ…」
部屋の外から聞こえる耳障りな大声に、リヴァイはシーツに包まりながら盛大に舌打ちをした。
「ん……だれ…?」
「お前は寝てていい。ちょっと待ってろ。」
寝ぼけ眼のエマをベッドに残しツカツカと扉に向かう。
その間も激しいノックと大声は続いている。なんて最悪な目覚めだ…
ドアを開けると、予想通り鼻の穴を広げて息を荒げているハンジが前のめりになっていた。
「リヴァイ!エマもいる?!いるよね?!」
「…いない」
「嘘?!エマの部屋行っても返事なかったんだからいるでしょ絶対!あ!ほらやっぱりいるじゃん何で嘘つくのさー!」
こんな早朝から鬱陶しいコイツに絡まれるのはまっぴら御免だと嘘をついたが、ハンジが少し背を伸ばせばリヴァイの頭上から簡単にエマは見つかってしまった。
「おいクソメガネ…てめぇにはデリカシーの欠片もねぇのか!こんな朝っぱらから人のプライベートにズカズカと入り込んできやがって」
「そんな怒んないでよリヴァイ~邪魔して悪かったって。でもこれは君たちに早急に話を聞くべき事態なんだ!」
「何の話だか知らねぇが自分勝手な行動も大概にしろ!大体今何時だと思ってやがる!」
そう、まだ朝の6時前だ。
いつもならとっくに起きている時間だが、今日は壁外調査後のバタバタも落ち着いた後の久々の調整日。
今朝くらいエマとゆっくり過ごそうと思っていたのに…
眉間に深い皺を刻むリヴァイの不機嫌メーターはもう爆発寸前だ。
「リ、リヴァイさん…落ち着いてください。」
「あ゛?」
「ひっ!」
一人イライラのボルテージを上げていたリヴァイは、背後に現れたエマを睨みつけたまま振り返ってしまった。
その鬼のような形相にビクリと肩を振るわしたエマを見て、リヴァイは慌てて怒りを沈めにかかる。
「悪ぃ……あっちで待ってろと言ったろ。」
「すみません、でもハンジさん何か訳ありのようだから…」
「コイツが押し掛けてくる時は大概しょうもない理由だ。気にするな。」