第26章 兵長ご満足プラン ※
「何してる。時間は限られてんだ、さっさと脱げ。」
「はっ!すみま…ひゃぁっ!!」
「…なんだ」
声の方を向いた途端目に入ってきたのは呆れ顔の男と、そして…
美しい筋肉に覆われた、彫刻のような裸体。
惜しげもなく晒される躰を見てこっちが恥ずかしくなった。
エマは咄嗟に持っていたタオルで顔を覆ったが、すぐに引き剥がされ目の前に整った顔が迫る。
「さっきから言おうと思ってたが、今更なにが恥ずかしいってんだ。裸なんぞ散々見せ合ってきただろうが」
「そ、それとこれとは話しが違」
「違わねぇよ。ったく面倒くせぇやつだな」
眉間に皺を寄せて凄まれてしまい、エマは反射的に小さくなって謝る。
するとリヴァイは皺を寄せたまま少し困ったような顔をした。
「はぁ…別に怒ってるわけじゃない。先に風呂に行っててやるから、すぐに準備してこい」
「はっ、はい!」
「もたもたするんじゃねぇぞ」
「はいぃっ!」
堂々と磨りガラスの向こうに消えていく背中を見送った後、エマは言われた通りに素早く服を脱いでいった。
ガラガラガラー
戸を開けると涼しい風が肌を撫でる。
季節的には秋だがまだ夏の暑さを引きずっているおかげか、夜になってもそんなに寒いとは感じない。
“檜”は露天風呂だった。
キョロキョロすると檜風呂の縁に両腕を乗せて寛ぐ男と目が合う。
目で入浴を促され、掛け湯をしてからリヴァイの足元の方から湯に入った。その間もタオルを使いなるべく見えないように頑張った。
ここまででもう、心臓ははちきれてしまいそうだ。
「おい」
「はい!」
「遠い。もっとこっちへ来い」
「は、はい…」
足元で縮こまっていると上から目線で指示され、エマはおずおずと従った。
近づくと、湿り気を帯びた黒髪と端正な顔立ちが薄暗い灯りに浮かび上がる。
熱っぽい瞳に見つめられ心臓が跳ね上がった。
「何してる、こっちへ来いと言っただろうが」
「え?き、来たじゃないですか…」
まだ近寄れというのか。
これ以上詰めたら、体が触れてしまう。
「そうじゃねぇ」
「ちょっあっ!きゃぁっ!」
苛立った声で言われたのと同時にエマの手は勢いよく引かれ、バシャン!と派手な水音が鳴った。