第20章 小さな違和感
窓から差し込む眩しい光に目が覚めた。
「……わっもうこんな時間!」
霞んだ目を擦りながら時計を見れば、いつもより一時間ほど余分に寝てしまっていたようだ。
今朝から花壇の手入れ本格化しようとしたのに、今日はダメになっちゃったな。
昨日は結局日付を跨いでしばらくするまでハンジの部屋に居て、結構夜更かししてしまった。
寝過ごして早朝の日課をこなすことが出来なかったのは悔やまれたが、久しぶりにハンジと色々と話せたこともあって気分はいくらかスッキリしていた。
ただひとつの違和感を除いては。
「……んー…やっぱり思い出せない、おかしいな…」
スマートフォンの待ち受けに写る、自分の隣で笑う友人の顔をじっと見つめる。
昨夜はたまたま思い出せないだけかと思ったが、一夜開けてみてもやはり名前が分からないままだった。
どうしてだろう…こんなこと今まで一度もなかったのに。
一体自分の頭はどうなってしまったのだと思ったが、再び時計を見るともうすぐ朝食が始まる時間だった。
「まずい!急がなきゃ!」
気になるけど……このことはまた後で考えよう。
スマートフォンの電源を落とし引き出しにしまうと、エマは慌ただしく身支度を始めた。