第19章 休息 ※
「おい、」
「あ……」
気だるそうに体を起こしたエマを抱き寄せて唇を重ねる。
激しい情事の余韻を残したまま、暫くの間甘い口付けに興じた。
エマの腕がリヴァイの首に緩く回される。
唇が離れると、指先に髪を巻き付けて弄んだ。
「ふふ、くすぐったいです。」
「お前の髪は柔らかくて気持ちがいい。」
艶のある黒髪を掬いとって口付けると、恥ずかしそうに視線を逸らした。
「兵長の髪だって、サラサラで綺麗です…」
はにかんだ微笑みを浮かべてエマもリヴァイの髪に指を滑らせた。
いじらしいことをするエマに、湧き上がった衝動に身を任せて手を掴み、また唇を奪った。
「ん……へいちょう。」
「なんだ?」
「私…今すっごく幸せな気持ちです。大好きです。」
まったくお前は。
いつも恥ずかしがって愛の言葉なんて囁かないエマからこんな言葉を聞いちまえば、この上なく愛おしくて、どうしようもないほどに好きな気持ちが溢れる。
止まらねぇこの気持ちは一体どうすりゃいいんだ…
まともに恋などしたことのない俺にはやはりこんな方法しか思いつかない。
「俺も幸せだ。こんな時間が永遠に続けばいいと思ってる。」
「兵長……ってあわっ!」
「おい、もう少しさっきみたいに色気のある声は出せねぇのか?」
「え?ちょっ……」
穏やかで甘い時間を過ごしていたはずが、ため息混じりの言葉と共に突然押し倒されてしまった。
見上げたリヴァイは熱の篭った視線でこちらを見下ろしている。
こ、これってまさか…
「お前のせいでまた抱きたくなった。もう一度だ。」
「え?!やっ!ちょっ、もう無理……ですよ?」
「いややる。また俺をその気にさせたお前が悪い。」
暴れる四肢を押さえつけられ心を射るような視線を突き刺されてしまえば、もう拒否権など与えられなかった。
「うそっだめ、へいちょう…!!」
俺の気持ちが収まるまでお前を抱く、抱いてやる。
俺の想いを余すことなく全て、その心と身体で受け止めろ。