第19章 休息 ※
「う…………」
顔を覗き込むリヴァイは、まるで上玉な獲物を見つけた時の雄のような目をしていた。
色欲を纏った視線にエマは呼吸するのも忘れて、ただただその瞳に吸い込まれるように目を逸らせなくなった。
「それで?俺にそんな目を向けてどうして欲しい?」
「い、いえ…何も…」
「なんだ違うのか?ならなんでそんな物欲しそうな目をしてやがる。」
「そんなことありません…」
「ほう……そうか、自分じゃどんな顔をしてるか分からねぇもんな。」
そう言うとリヴァイはエマの頬にそっと手を添える。
「………っ」
「お前が今、どんな顔をしてるか教えてやろうか?」
「え……?」
「頬を赤く染め、目尻はだらしなく下がり、まるで俺に何かを訴えているような顔つきだ。」
視線を捕らえたまま呟きながら、親指を頬から唇へ滑らせ指先でゆっくりとなぞり、その指をそのまま目の下の涙袋へと這わせた。
「や……言わないでください…」
「フッ、耳まで赤くなってきたな。
エマ…自分で分かってんだろ?素直に言ったらどうだ。」
「………へいちょう、意地悪です…」
艶めかしい手つきで触れられながらそんな風に追い詰められてしまえば、恥ずかしくて言えない気持ちも吐露せざるを得なくなりそうだ。
「あぁ俺は意地悪だ。だが、お前はたぶんこういうことも嫌いじゃない。違うか?」
「っ…そんな……」
得意げに言いながら顎を掴み上げるリヴァイ。
その表情は楽しそうに目を細めて口角を上げていた。
「なぁ、言えよ……俺にどうして欲しい?」
顎に手を添えられたまま唇が触れてしまいそうなほどに顔を近づけられれば、もうエマに逃げ道は残されなかった。
「うぅ…………」
「どうして欲しいかちゃんと言え。」
恥ずかしさも最高潮だが、身体の奥で密かに燻り続けている欲求もそろそろ限界だった。
「…………キ、スして欲しいです…」
身体まで真っ赤になるんじゃないかというほどの羞恥の中、消え入りそうな声でエマは昂る欲求を口にした。