第1章 出会い
「……」
眠れない。
夜もだいぶ更けてきた。今頃起きてるのはきっと俺かエルヴィンくらいだろう。あぁあとは、最近寝る間も惜しんで巨人捕獲作戦を考えてるハンジもか。
昔からよく眠る方ではなかったが、数年前から眠いのに妙に目が冴えてしまって眠れない夜が多くなった。
今夜は月が明るい。ロウソクを灯さずとも部屋の様子はよく分かる。
ベッドから起き上がり、水を飲みに行こうと立ち上がる。
するとその時一
ガタガタガタガタガタガタッ
「?!」
しんと静まり返っている部屋の中で、突然大きな物音がした。音は背の高い洋服ダンスの……中からだ。
まるで中で何かが動いているかのように小さく揺れながらガタガタいっている。
こんな現象は見たことも聞いたことも無い。幻か?いや、違う。中に幽霊でもいやがるのか?
俺は軽くカルト的なことを考えながらも早くこの音の正体を突き止めたいと思い、早足でタンスに歩み寄り勢いよく扉を開けた。