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【進撃の巨人】時をかける—【リヴァイ】

第12章 ここにいていい理由




カリカリカリカリ一


シン…と静まり返った部屋の中に、ペンを走らせる音が響く。

部屋はそれほど広くはないはずだが、一人でいるといやに広く感じる気がする。

ここ数日、エマは一人で執務をこなす日々が続いていた。





予算審議会から戻ってからというもの、調査兵団内は慌ただしい。


今年に入って初めての壁外調査が決定したのである。


時期はおおよそ1ヶ月後。

真冬の寒さも和らぎ、次第に春めいてくる季節に決行されることとなった。


冬の間中壁外調査に出ることがなかった兵士達はもちろん常日頃から訓練を積んでいるが、いよいよ調査日が決まったということで、近頃は皆さらに気を引き締めて挑んでいるようだった。

それは兵士長であるリヴァイにとっても例外ではなく、最近はずっと、日の出ているうちは訓練地で色々な調整をしているようだった。



ウォール・シーナでのあの一件ではリヴァイには多く助けられ、エマは物凄く感謝していたのだが、その時のリヴァイの色々な言動を思い返す度に、胸の奥がキュンと締め付けられるようになっていた。


こんな状態でこれからリヴァイとちゃんと仕事が出来るのか少し不安であったが、リヴァイの様子は普段とさほど変わらず、今のところエマも彼の前では何となく普通に振る舞えている。



それに壁外調査が決まってからリヴァイとはほとんど別行動だ。
そのため二人きりになることもあれからほとんどない。

隣の机にいつもの姿がないことは少し寂しかったが、今は一人の方が余計なことを考えなくて済みそうだったのでこれはこれでいいかと思うようにしていたのだった。



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