第2章 近づく二人の距離
「俺たちがいる限り、大丈夫だから。安心して眠って。」
「……はい、ありがとうございます。」
「あー、それから。こんなこと、女性に聞くのは失礼かもしれないけど、リラさんて、何歳?」
その途端、サボは、ボカッと頭を殴られた。
「痛ってぇーなー!なにすんだよっ!」
殴ったのは、食堂の女性だった。
「あんた、女性に年齢聞くの、失礼だろ?」
「だから、ちゃんと"失礼かもしれないけど"って前置きしてるじゃないか!」
サボは頭を抑えながら食堂の女性に反論した。
「クスクス…大丈夫ですよ、私は18歳です。」
それを聞いたサボと女性は二人して驚いた。
「「えーっ!!」」
彼女はこの先、歳を重ねればさらに美しさを増すであろうと二人は思った。
絶世の美女と言っても過言ではない。それほどに今、既に美しいのだ。特に笑顔が美しく、惹き付けられる。潤んだ瞳もまた、透き通った碧色を放っていて美しかった。
美しさの中に、どこか放っておけない愛らしさ、幼さを持ち合わせている彼女に、サボはいつの間にか惹かれていた。
(18歳には見えない……大人びてるような、少女のような感じだ)
「サボさんは、何歳ですか?」
「俺は20歳だけど。」
「私と2歳違うのですね。」
「サボ、20歳なのか!それにしてはやることが、子供だわ……」
食堂の女性が呆れたようにため息をつき、口を挟んできた。
「うるさい!もう、あっちにいっててくれ!!仕事しろよ!」
プクッと頬を膨らませ、シッシッと手を振るサボに、リラの顔は綻んだ。
「ふふっ…、サボさんといると、楽しいです。」
彼女が何気なく発した言葉だったが、サボには、心臓の鼓動を早くさせる言葉に聞こえた。
「わかった、わかった。サボに何かされたら、大声で叫ぶんだよ、リラちゃん。」
食堂の女性はそう言い残し、去っていった。
(あんのババァ…余計なことばっかり言いやがって…)