第2章 近づく二人の距離
フッと口角をあげ、参ったな、と頭を掻きながらサボは自分の部屋に戻った。
ベッドに腰掛け、ふわりと抱きしめたリラの感触や、彼女の香り、鼻をくすぐる、艶やかでふわりとした長く美しい黒髪を思い出した。
(細くて華奢な身体…ちゃんと食事してるのか…?)
ひとつ何かを考え出したら、次から次へと色々なことを考え出して、気がつくと、サボの頭の中の思考はリラのことでいっぱいだった。
「…サボくん!」
コアラに声を描けられ、盛大に驚いた。
「うぁぁぁっ!コアラ!」
「ちょっとー!!サボくん!いるなら返事くらいしなさいよ!勝手に入ってごめんね。」
「な、なんだよ…」
「何をボーッと考えてたんだか…」
コアラはニヤリと口角を上げ、横目でサボを見た。
(ギクッ…コアラ鋭いからな、気づかれないようにしないと…)
「…べ、別に。ところで何か用事か?」
「明日からの偵察は、わたしと、ハックで行ってきます。その間、リラちゃんのことよろしくね。あ、サボくん、リラちゃんに手を出したらダメだからねっ!」
そう言いながら、"警告"という意味を込めてサボの頬を抓った。
「痛てぇなっ!あぁ、わかってるよ。偵察の方、よろしく頼む。報告は忘れないようにな。」
頬を抑えながらコアラに返事をした。
サボとコアラはその夜、リラにバルティゴの内部を案内し、三人はそれぞれの部屋へと消えていった。