第5章 "過去"というライバル
サボは、問答無用とばかりにリラを抱きかかえたまま、自分の部屋に戻った。
リラそっとベッドに寝かせ、布団をかけた。
「片付けて、シャワー浴びてくるから、先に眠ってて。」
そう言って、リラの瞼にキスを落とすと、適当に机の上を片付け、サボは部屋を出ていった。
サボのベッドは、背の高いサボに合わせてあり、広くて大きい。
二人寝てちょうどいいくらいだ。
リラは目を瞑るがなかなか寝付けずにいた。
すると、サボがシャワーを浴び終え部屋に戻ってくる。
まだ目を開けて起きている、リラに声をかけた。
「眠れないか……?」
サボは上半身裸で金髪を乾かしながら、ベッドの脇に座る。
リラはサボが上半身裸なのに気がつき、見ないように目を閉じた。
男の人の裸なんて、恥ずかしくて見れない。
当然自分の裸も見られたら、恥ずかしくて死んでしまう。
「ん?なんだ寝たのか?」
目を閉じているリラに気がつき、そっと唇を重ねた。
サボは上半身裸のまま、リラの隣に寝転がった。
「サボ……服を着て……」
「あ、起きてる……ふふっ。もしかして、リラ、俺の裸見ないように目を閉じてたのか?」
「…いいから、服着て…」
目を閉じたまま、服を着るように促す。
「可愛いなぁ、まったく。リラのこと、いろいろ知れていくのが楽しくて仕方ない…」
「早く着てってば…」
「はいはい、わかりました。」
サボは口端を上げニヤリとしながら、シャツを羽織った。
「お嬢様、着ましたよ。」
そう言ってサボがベッドに上がってくる。
軋むベッドの音。
リラが、そぉっと目を開けると、サボの黒い瞳がサトを見つめていた。
黒髪を梳きながら、額にキスを落とす。
サボは横になり、リラの頭の下に腕を入れ、彼女の方に向いてそっと抱き寄せた。
「さっきは、アイツらに連れていかれなくて良かった……」
強く抱きしめ、サボは彼女の頭を抱え込んだ。
「助けに来てくれて嬉しかった…ありがとう、サボ。」
リラはサボの頬に触れ、唇にキスを落とした。
サボは少し驚いたが、目尻を下げてニッコリと笑った。