第1章 出会い
「ありがとうございます」
サボは彼女から向けられた笑顔に心臓が飛び跳ねた。ドキドキした。
(なんて可愛い笑顔……)
その時、サボのお腹がぐうぅ…と空腹のサインを出した。
ハッ!と困った顔をしながら、お腹を抑えているサボの様子がおかしくて、リラは笑い出す。
「…ふふふっ。サボさん、お腹空いたの?もし良かったら、お礼にご馳走させてくれませんか?」
「いや、それよりも君の手当が先だ、結構傷が深い。痛むだろ?無理しない方がいい。」
「…大丈夫です…これくらいの傷、いつものことですから…」
「大丈夫じゃないだろ!」
サボは思わず大きな声を出した。
「…え…」
リラは、その声に驚き、ビクっと身体を震わせた。
「あ、ごめん、驚かすつもりはなかったんだ。放置したら、傷口からばい菌が入ってしまうから。」
サボは、優しく腕を引いた。
「え、どこに行くんですか?」
「あ、えっと、俺は、革命軍なんだ。知ってる?」
「…はい、反政府組織ですよね?」
「大丈夫、君を守るように言われてる。だから、信じて付いてきて。手当しなきゃ。」
リラは、サボの顔をじっと見た。
「………」
「…え、顔になにか付いてる?」
サボは慌てて、顔をペタペタ触って確かめた。
「いいえ。サボさんを信用していいか、見ていたのです。」
「どうだった?」
「信じます。悪い人には見えないから。」
そうして、サボは彼女を連れて革命軍の船へと戻る途中で、コアラとハックにも連絡がつき、合流することができた。
「まさか、女の子だったとはねぇ…しかもサボくんが見つけるなんて。ナンパでもしたんじゃないの?あ、わたしは革命軍のコアラ。で、この人はハック。よろしくねっ。」
「ナンパなんかじゃない!俺が助けたんだ!」
「ふぅーん。」
屈託のない可愛い笑顔を見せるコアラと、魚人のハックに、リラは本当にこの人達は革命軍なんだと、改めて信用できると感じた。