第1章 出会い
「後ろは壁だ、もう逃げられないし、誰も助けちゃくれねぇよ、そんなお人好しがいるわきゃねぇ!諦めな。」
男達が一斉に女を捕まえようと飛びかかろうとした瞬間だった。
「そうでもないさ。俺は助けるけどね!」
サボが男達に蹴りを入れると、彼等はいっぺんに弾き飛ばされた。
「…うわぁぁぁっ!なんだ、アイツ強え!」
武器を持って襲い掛かってくる男達。
だが、サボにはそんなものは何ともなかった。次々に交わし、蹴りやパンチをお見舞いしていく。
「困ってる人を見過ごせないタチでね。悪いが、お前ら容赦しねぇぞ!」
男達に向かって構えると、彼らはサボには適わないと悟ったようだった。
「お、覚えてろよォー!」
(アイツらは、恐らく政府から金で雇われた海賊…。海軍には誘拐じみたことなど、できないはずだ…正義を掲げている以上は……な)
逃げていく男達の姿を見ながらサボはそんな風に頭の中で結論づけた。そして座り込んで動けない女性に手を差し出した。
「……大丈夫か?」
「…助けてくれてありがとうございます…」
サボの差し出した手に彼女は手を伸ばした。そしてサボはその手を取り、立ち上がらせた。
「俺はサボ。よろしくね。」
「私はリラです」
顔を上げた彼女の顔を見た瞬間、サボは固まった。
「………!!君!」
「…え?」
「…あ、いや、えーっと、あの…」
サボは苦笑いして、慌てて、手を離した。
彼が固まった理由。それは、その女が、革命軍が探している”瞳の色”をしていたから。その瞳は、珍しい碧色で、透き通っていた。見る人によってはマリンブルーにも、スカイブルーにも見える、美しい瞳の色だった。彼女は、政府に追われている。間違いない、彼女が革命軍が守るべき人物だ。そして、なんといってもその女の美しさがサボを一瞬で惹き付けた。綺麗な艶のある漆黒の髪、大きな瞳、高い鼻、透き通るような白い肌……
(こんな美人がいるのか…)
あまりの美しさに見蕩れてしまっていた。
「どうかしました?サボさん。」
「…あ、いや、リラさん、その腕、止血するから、ちょっと待ってね。」
サボはリラの腕の血を止めるため、自分の持っていたハンカチで止血をした。