第4章 もう一度触れたくて
リラは、被せてくれた毛布の上から両手で自分の耳を押さえ、サボはさらにその上から自分の手を重ねた。
「これで聞こえないだろ?」
耳を押さえたまま、顔を上げた彼女の美しい瞳を見つめる。
「サボ…」
リラの唇がサボの名前を紡いで、瞳から綺麗な涙が頬を伝うと、サボはそれを唇で拭った。
「綺麗な瞳だ…涙は似合わない。」
稲光と、雷鳴が轟く中、二人は見つめ合う。
「…こうして、俺だけを見てろ。」
時々見せる、サボの男らしさにドキドキを隠せない。
この心音が、彼に聞こえてしまうのではないかとリラは、内心焦ったが、それがさらに鼓動を早くしていた。
サボの言葉に、リラは顔を赤らめ、頷いた。
次第にサボの顔が近づき、額と額がくっついて、サボは囁く。
「可愛い…リラ…初めて会った時、リラの笑顔に一瞬にして心を奪われた。こんなこと、初めてだ…」
サボの紡ぐ言葉が彼女の心を揺らしていく。
「サボ……ドキドキさせないで…心臓がもたないわ…」
「甘い、柔らかな唇…もう一度触れたい…」
額を離して、重ねていた自分の手を外した。
そして、サボの親指がリラの唇に触れ、ゆっくりとなぞった。
サボに意識を向けている今、彼の手が外れても、雷鳴が耳に入ってこない。不思議だ。
リラは自然に耳から手を離した。それと同時に毛布がパサりと床に落ちた。
「…触れても…いいよ…」
そう、言葉が紡がれた瞬間、サボの左腕がリラの腰に回った。
彼女の綺麗な黒髪に右手の指を絡め、サボは彼女の小さな頭を引き寄せ、柔らかな唇を塞いだ。
サボの唇が、軽く触れては離れ触れては離れを繰り返す。
リラの唇が薄く開かれた瞬間を逃さない。
サボは舌を入り込ませ、彼女の華奢な身体を自身の逞しい胸に押し付けるように抱き込んで、口付けを深めた。
サボの舌が歯列をなぞり、口内をまさぐる。
彼女の小さな舌に自分の舌を絡め、吸い上げると、彼女の身体から力が抜けるのを感じた。
サボはリラが倒れないよう、腰に回した腕に力を入れた。