年齢=恋人いない歴の私が神様の嫁候補にされてたんだが
第6章 #06
「お兄ちゃん。
私もお兄ちゃんみたいに強くなりたいです!」
私は青年をお兄ちゃんと呼び続ける。
純粋に強くなりたくて聞いた。
青年は私のお兄ちゃん呼びが気に食わないようだ。
いつもなら否定する事なかったのに。
青年は不満を覚えて舌打ちをする。
私を下から見下ろし、突然大声で怒鳴り散らす。
「ふざけるな。私をなめているのか。」
私は青年の態度が急変したことに驚く。
青年の瞳からは光が消えていた。
青年はその瞳で私を見下ろす。
「…?お兄ちゃん?」
「お兄ちゃんって呼ぶのもやめてもらえる?
私は名前の守護神様であり旦那様なんだよ。」
青年の顔は笑っているが、私は何となく恐ろしく感じた。
私は青年に平謝りする。
星の光と月の光で照らされている。
「ご…ごめんなさい…。」
青年は私に謝られて、満足気に口元で笑む。
「名前が強くなる必要なんてないんだよ。
名前は私の妻なんだから。
ただ媚びて纏わりついていればいい。」
「はい…。」
私は感情の起伏の激しさに驚き、後ずさりしてしまう。
「私の事は旦那様かご主人様と呼ぶように。
わかったね?」
私は青年にそう言われ頷いた。
青年はとっさに鞘から刀を引き抜く。
刀の先は月光に照らされ妖しく青く煌めいている。
青年は憎しみでこうしているのではない。
愛するあまりこんな行動を取ってしまっているのだ。
「ねぇ、どうして逃げるの。私の事愛してるんでしょ。」
「…っ、旦那様。逃げてなんかないです…。
こんなのはあんまり…。」
私は涙目にながら距離を取る。
そして青年の両腕に捕まる。
青年が手に持ってた刀は地面に音を立てて落とされた。