第30章 頑張ったんだもんね
「~介護施設で起きた事をうやむやにしたく無いという思いに。翔ちゃんの思いに……協力したいと思いました」
翔side
『凄く寂しい曲だね』
正直な人……
犬の絵を描いてくれた時も
前髪切りすぎて笑われた時も
温かい人……
智「翔ちゃんは、ヴィント、ルーナ、ベルクの様に頑張ったんだもんね」
『頑張ったんだもんね』
……話して……いいの?
翔『お年寄りに対しての物言いが上から目線なのは間違ってるの。なるべくお年寄りの残された機能を大切に。出来る事をして頂く。例えば、右手が不自由なお年寄りに対して入浴介助時に着替をしてく際は、右側の方の手に袖を通して、左肩辺りまで通すお手伝いをして、お年寄りにご自分にて左手を袖に通してもらうの『自分でさせて!』ご自分で服を着られる方には、声かけのみ、見守りで良いけど…… 麻痺の残る手でどの様にご自分で着て頂けば良いというの?』
智「うん……」
翔『何より許せなかったのは、お年寄り達への態度なんです……大野さん? 長袖シャツを着て長袖の服を着た際に中に着ているシャツの袖がくしゃくしゃと捲られた状態であったらどう感じますか?』
智「違和感……オイラ絶対に我慢出来ないや」
翔『少しでも快適に過ごして 頂きたいの。不快感を感じない様に介助者が捲れた中のシャツを手首の所まで伸ばして差し上げる。それを介助というと思いませんか?』
智「思うよ」
翔『『そんな事しなくていいから』『自分でさせて』先程と同じ事。不自由な方の手のシャツは動かせる手で直せても……患側の手ではもう片方のシャツを下ろす事は出来無いんです。万事そんな感じなの、食事も、靴を履くのも。ほんの少しだけお手伝いするのが介護です。あなたたちのお年寄りに対して『まだ出来ないの?』『早く食べて』『早く服着て』『 何、おむつ外してんの?』心の無い人に なぜ介護という仕事を選んだのですか? と問いたいです。お年寄りは人生の先輩なんです。人権を無視した様な態度取る事は到底許されるものではないんです。自分のイライラを相手にぶつける事程、みっともなく愚かな事ないの!」