第84章 貴女の悲しみの記憶…胸が痛くて苦しくて…
夏輝side
夏輝『…… それって、相葉くんが私の想いを聞いてくれるって事?』
雅紀『……それって、俺に夏輝さんの想いを話してくれるって事?』
わ、 私ってば何言っちゃってるのっ
夏輝「 ご、ごめんねっ。今の忘れてっ」
雅紀「何でですか?」
夏輝「迷惑でしょ?」
雅紀「迷惑な訳無いよ。好きな人の想い聞けるかもしれないんだもの」
夏輝「冗談はやめてっ」
雅紀「冗談は言ってないです。夏輝さん」
そうよね。相葉くんは人の気持ちに真剣に向き合う人だもの……
話てみようかな……
夏輝「 私の家は、転勤族だったの。 保育園卒園半年前に引っ越して……小学校は二回、 中学も一回転校をしたわ」
雅紀「辛いね……」
夏輝「 私は人見知りだった。小3の時、ようやく学校に慣れて、クラスメイトとも仲良くなった時に転校が決まって……悲しかった。 転校生を物珍しそうに構まってくるのは最初の一週間くらいで。人との距離を縮められずに、上手く返せ無い人間は…… からかいの対象になりやすいんだと思う…… 気付いたら、なんとなく入れてもらったグループの人達から無視されてた……」
その時ふと感じた違和感が、確信に変わった時の絶望感を思い出して涙が溢れて来て
ハンカチで涙を拭うため 慌てて後ろ向いて 、ズボンのポケットから取り出そうとした瞬間
雅紀「はい」
自分のハンカチを差し出した相葉くん
何でこんなに優しいの
何でこんなに優しくしてくれるの……