第3章 ⚫︎二人だけの世界【リヴァイ】※執筆中
するとまた、1人の女兵士が近づいて来た。
「訓練の時間終わったよー?まだやるの?」
ナナはホッと胸を撫で下ろし、リヴァイはハァーっとため息をつく。
今日もまた、唯一触れ合える時間が終わってしまったのだ。
ナナと居るとつい時間を忘れてしまう。
後は夕食と風呂と寝るだけで、ナナと話せる機会は訓練中の時だけだった。
別れ難い、そんな時はこの手を使う。
「ナナ、飯行くぞ」
「あいあいさっ」
いつものように何の躊躇も無く誘いを受けるナナ。
同期としてしか見られていない事に軽く苛立ちを覚えたリヴァイだったが、変に意識をされ誘いを断られるよりはマシだと思ってしまう。
ナナはそんな事も知らずに、どうしてリヴァイは彼女を作らないのか不思議に思っていた。
顔も良し、腕も良しの彼を、他の女の子達が放っておく訳がない。
告白されている場面に何度か出くわした事もあった。
それでもリヴァイは、彼女を作ろうとしない。
今でも2人の様子を睨みつけて来る兵士がたくさん居る。
最初の頃は何故ここまで人を避けているのか、リヴァイの過去を視ようと思った時もあった。
でもそれはやってはいけない気がして、辞めた。
そう、ナナには色々な力があっても、男心というものが全く分かっていなかったのだ。
「何ジロジロと見てやがる。さっさと行くぞ」
兵舎を出たリヴァイとナナは、並んで街を歩く。
ナナの肩や手が触れる度、リヴァイの内心は平常心を保つ事で精一杯だった。
「ねー、今度あそこ食べに行ってみようよ」
「じゃあ今日はあの店に入るぞ」
リヴァイはナナの腕を引き、指されたお店へとスタスタ歩く。
「それはダメ!もういつものお店の舌になっちゃってるもん!」
ナナはリヴァイの腕を引っ張り返す。
リヴァイは怪訝そうな表情をナナに向けながらも、内心悪くないと思っていた。
怒ったフリをするように優しくナナの両頬を挟む。
「あっ!びょうりょくひゃんたぃ!(暴力反対)」
「お前のめんどうな我儘に毎回付き合ってやってんだ。これくらいは許せ」
ナナもまた、リヴァイとの関係に居心地の良さを感じていた。