第3章 ⚫︎二人だけの世界【リヴァイ】※執筆中
ナナは痛さで叫んでいた訳では無く、リヴァイの容赦の無い言葉に悲鳴を上げていたのだ。
虐めているという感覚ではなく、戯れている。リヴァイはそんな感覚だった。
対するナナも
毎日戦い方を教えてくれる仲の良い同期、そうゆう認識である。
2人の性格は正反対であったが、入団時期が同じだった他に同い年という事もあり、他の兵士達が割って入る事の出来ない壁のようなものがあった。
たまに、そんな事情を知らない入団式を終えたばかりの新兵から誤解を受ける。
今も丁度、その時期だった。
「お、おいっ!もうやめてやれよ!」
つい最近訓練兵を卒業したであろう新兵が、リヴァイを睨み下ろす。
彼は2人が先輩だという事も、この男が人類最強のリヴァイという事も何一つ知らなかった。
ただ単にリヴァイがナナを虐めている、そう見えたのだ。
「あ?何だテメェは」
お前には関係ねぇだろ、と言うように睨み返すリヴァイ。
「そっ、その子嫌がってんだろ?!」
リヴァイはこの一時の時間を誰にも邪魔されたく無かった。
ナナに掛けていた技を怠そうに外すリヴァイ。
もう少し、自分の下で焦るナナの顔を見たかったというのに。
「…嫌がってるだと?新兵のお前に俺らの何が分かる」
新兵相手に大人気ないな、とここ最近のリヴァイを見てナナは思う。
だが毎度の事なので、慣れてしまった部分もある。
「あー…ごめんね!助けてくれてありがと!こう見えて、リヴァイは一応手加減してくれてるから大丈夫だよ!」
新兵の顔が青ざめていくのが分かる。
目の前で睨んでくる男は、かの有名な人類最強のリヴァイだったのだ。
「りっ、リヴァイ先輩とは知らずにっ!!すみませんでしたぁ…!!」
そう言い放ち、逃げる様にその場を離れる新兵。
「えぇ…?何で逃げるの…。リヴァイ、また睨んだでしょ!!」
大体の兵士はリヴァイを尊敬の眼差しで見ている。逃げるという事は余程の眼力で睨んだのだろう。
「うるせぇ。早く構えねぇとまたさっきの技やるぞ」
「えぇ?!それは無理!!構えるっ、構えるから!!」
すぐに体勢を整えるナナに、何事もなかったかの様に時間を惜しむリヴァイ。