第3章 ⚫︎二人だけの世界【リヴァイ】※執筆中
847年ーーーーーー
「いったぁぁい!ちょ、ちょっとタンマ!!」
「タンマとかねぇ」
今日もいつもの様に悲鳴を上げているのは、調査兵団に所属して3年もの月日が経っているナナだ。
リヴァイの下敷きになり、技を掛けられているナナの姿を目の当たりにした兵士達は
その痛々しさに目を逸らす。
目を逸らす理由は痛々しいという理由だけでは無く、ナナの容姿が良過ぎるからでもあった。
容姿端麗な彼女には、土や泥の汚れが全く似合っておらず、周囲の兵士は訓練の度にナナが怪我をしていないかソワソワしていた。
こんなナナに ”あくまで普通” の組み手が出来るのは、おそらくリヴァイだけだろう。
リヴァイもまた、眉目秀麗であった。
二人は他にも共通点がある。
それは ”特別ルート” で調査兵団に入団した兵士という事だ。
人類最強と呼ばれているリヴァイはもちろん戦力の為。
では何故こんな鈍臭いナナが
長く辛い訓練兵期間を過ごす事無く、調査兵団に所属する事が出来たのか?
それは簡単な話、彼女には不思議な力があったのだ。
体力はもちろん、座学や立体起動も人並み以下の彼女ではあったが、視界にも入っていない巨人の位置を何故か正確に知る事が出来た。
それに付け加え、視ようと思えば人の過去や未来までもが視えると言う。
ミケの鼻利きより遥かに上回る力を持ったナナと、地下でゴロツキをしていた有戦力のリヴァイを見つけた分隊長エルヴィン・スミスは、同時期に2人の即入団を推薦したのだった。
今では兵団から
戦いは避けろ、ナナはリヴァイが守れ
と命令を出されているほど、彼女は調査兵団から大切な人材として重宝されている。
当の本人は守られてるだけの存在が嫌で、自主練や筋トレを毎日していたが
やはり感性というものか…何一つ上達しなかった。
「おい、この技の抜け方はこの間教えただろ」
「わ、分かってるよ?!分かってるけど、動いたら折れるうぅー!」
「折れねぇ。外れるだけだ。もし外れる様な事があれば俺が後で戻してやる」
「いっ、いやあぁっ!!だ、誰かぁっ!!」
もはや漫才である。
リヴァイは全く痛め付けてなどいない。
動くと痛い、そうゆう技を仕掛けていた。