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あなたとの日常、あなたとの恋事情【ワートリ】

第6章 あなたに呼ばれたなら喜んでとんでいく【忍田】


基地内を歩いていた志崎眞は、前方に見えたふたつの人影に思わず足を止めて目を瞬かせた。方や噂の新人アタッカー、方やもう馴染みまくったNo.1アタッカー。凸凹な身長差がやけに目立つ。背の高い方が眞に気づき、ようと手を上げた。
「眞ぉ」
「慶…と、空閑遊真、だったな」
背の低い方に目を向けると、誰?と首を傾げられた。歩み寄って簡単に自己紹介をする。
「水無月隊オペレーター、志崎眞だ」
「ほう、男子のオペレーターは初めて会ったな」
「男子って歳でも無いけどな」
こいつと同い年だし。言うと空閑はまた「ほう」とこぼした。
「同い年にはあんま見えないな」
「それはこいつの変な髭のせいだな」
「変なって言うなよ酷いなー」
顎髭を擦りながら太刀川が肩を落とすが眞は全く気にしない。
「そんな事より模擬戦やろうぜ模擬戦」
「は?やるかよ」
「模擬戦?シザキさんはオペレーターなんだろう?」
太刀川の言葉に空閑がまたしても首を傾げる。
「あぁ、こいつ元アタッカーなんだよ。凄腕の」
「ほう。タチカワさんがそう言うほどなのか、興味ある」
「興味持つな」
大きいのと小さいのにじりじり迫られて眞の顔が歪む。
「あぁそうだ眞」
「なんだよ」
「忍田さんが呼んでたぞ」
「ばっ…!そっちを先に言えよ馬鹿野郎!!」
突如顔色を変えた眞は壁に追いやられそうになっていたにも関わらず、隙間を縫って二人の包囲を抜け出す。そのまま猛ダッシュで本部長室へと駆けて行った。
「おー…生身であの身体能力はすごいな」
「戦ってみたくなったろ」
「うん。興味わいた」
太刀川と空閑は顔を見合わせてにっと笑うと、そのまま訓練室へと向かって行った。






「忍田さんっ!志崎眞現着しました!」
バンッと勢いよく扉を開けて眞は本部長室へと駆け込んだ。中にいた二人は目をぱちくりさせて、息を切らした眞を見る。
「お前…そんなに焦ってこなくても良かったんだぞ?誰にもぶつからなかったか?」
「大丈夫、事故りませんでした!」
「ならよ…くはないな。非常時以外は基地内を走るな」
「忍田さんに呼ばれたなら非常時です」
ね、と沢村に声を掛ける。彼女も思わずうんうんと頷いた。その様子を見て忍田はやれやれと肩をすくめる。
手招きされて忍田に駆け寄る眞を見て、沢村は心に思った。
(大型犬だなぁ…)
嬉しそうに尻尾を振る姿が見えたという。
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