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あなたとの日常、あなたとの恋事情【ワートリ】

第2章 彼と彼女の距離カンカク【風間】





「蒼也くーん!」




〝そうやくん〟
聞き慣れない単語に振り向く者が多数。聞き慣れている者達も、〝彼女〟の方へ顔を向けた。すらりと伸びる手をぶんぶん振っていた彼女は、呼んだ相手が気づいた事がわかると長い脚で小走りに駆け寄る。そしてにこにこと笑顔を浮かべて無表情の〝彼〟の前に立った。
「防衛任務お疲れ様、蒼也くん」
「あぁ」
風間蒼也が首をもたげて彼女に答える。対する彼女は顎を引いて少し下へ。彼女の正体がわからない者達は困惑し、その内の一人がひっそり風間隊の一人、歌川遼へと訪ねた。
「あの、彼女は…?」
「あぁ、彼女はA級クラス、水無月隊隊長、水無月蓮実さん。風間さんの彼女だよ」
「風間さんの彼女!?」
上がった大声に辺りがざわつく。が、当の本人達は未だ自分達の世界で会話を続けていた。
「水無月隊は明日だったか」
「そう、明日。あ、蒼也くんご飯食べた?」
「まだだ」
「じゃあカレー食べに行こっか?」
「あぁ」
よし、と頷き、そこで彼女はようやく風間以外に顔を向けた。
「それじゃここで隊長貰っていくね、歌川くん、菊地原くん、三上ちゃん」
「どうぞどうぞ」
「お疲れ様でした」
バイバイと手を振り蓮実が彼らに背を向ける。それに並び風間も歩みを進めた。並ぶ後ろ姿はでこぼこだが、風間の風格のおかげかそれ程違和感があるように思えない。
「逆身長差カップル…」
ぽつりと誰かが呟いた。





彼と彼女の差は16cm。
そこに物理的な距離はあれど、心の距離は、ほぼゼロ距離。


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